残響とは室内で音を発生して、これを急に止めたとき後に残る響きをいう。この場合の音であるが、室内の音が定常状態に達するまで、十分長い時間―といってもせいぜい数秒程度でよいのだが―発生させることが必要で、拍手のような接続時間の短い音を発生したとき、あとに残る響きは厳密な意味では残響とはいわないでエコーと呼ぶ。残響は英語では reverberation 、カラオケで使用するリバーブユニットのリバーブはここに由来している。
「静けさ よい音 よい響き」/永田 穂 1986

2010年11月06日

Victor/JVC DLA-X7/X3に関する15の質問

JVC DLA-X7/X3に関する15の質問
11月5日に難波御堂筋ビルディングにて行われた、日本ビクター主催のプロジェクター新商品内覧会へ参加してきました。

この内覧会では、これまでのDLA-HD950/550から、新たに3D対応となったDLA-X7/X3を試聴することができました。構成は、試聴から質疑応答まで含めて約1時間。ざっとパワーポイントでカタログ記載と同様の製品紹介。その後、機能の実演と試聴がありました。最後にJVCロゴの専用メガネが配布され、3D作品も試聴しました。

予想した通り内覧会の構成と内容は、Webサイトもしくはカタログを見ればわかるような説明と簡単な比較試聴にでした。時期が来れば量販店での展示など、ほとんどのエンドユーザーもこの内覧会で見聞き知れることが体験可能だと思います。唯一、エンドユーザーにとって困難なことは、表に滅多に出てこない開発者へ率直に質問をぶつけることです。昨日は、これが可能な絶好の機会でした。以下に質問と回答をまとめます。

※質問・回答は要約されていますが、両者の発言意図は変えていません。インタビューは録音されており、筆者の記憶に頼ったものではありません。


何と比べて"フィルムライク"なのか
何と比べてというわけではない。ホームシアターを楽しむというのは、ミニ映画館だと思っている。最近はデジタルシネマが映画館でも増えているが、やはり"フィルムの質感"を再現したいと考えている。昔のフィルムというのは、たとえ映画館であっても、今とは違ってコントラストがないようなプロジェクターで上映されていた。でも独特の質感があった。現在でも三管プロジェクターが求められているように、こうした"映画館の質感”は単なる性能だけの問題ではないし、"感性"とかそういうところだと思う。こうした微妙なディティールを、なんとか家庭用でも再現できないかと、ずっと取り組んでいる。


ディスプレイと比べて、より"フィルムライクにできる"と考えてよいのか
パネルはあくまでも「直視」。人間の目が光を直視することは通常ない。必ず光が反射したものを見ている。例えば今我々がお互いを見ているのも反射した光を見ている。従って、直視する場面はテレビぐらい。映画館もスクリーンからの反射。プロジェクターとディスプレイでは、その辺りでニュアンスの違いがある。


X7は鮮やかすぎるように感じたが、これもJVCが考える"映画館の質感"なのか
鮮やかだと感じたのはHD950に比べて"明るかった"ということも一つだと思う。X7はHD950に比べて400ルーメン上がっている。正直言って家庭ではまぶしいと思うが、これは3Dに対応するために明るくした結果だ。今回の展示機(X7/HD950)は工場出荷時の状態であり、家庭では「アパーチャー機能」で絞ることもできると思う。もう少し輝度を下げることで、鮮やかさも和らぐのではないか。


具体的になにをすることで"フィルムライク"を実現しているのか
言えないところもあるが、今回はフィルムを徹底的に解析した。コダック富士フィルムの2社、もちろんその中でも種類はあるのだが、このフィルムを専門機関に依頼して何千枚と色データを焼いてもらった。その色データを受けて、では光がフィルムを通過した時どう見えるか、というのを解析した。例えばこうした色だったら、じゃあ実際はこのように見えると。こうした作業で色をつくっているところで、"フィルムの質感"と我々は言っている。


開発段階ではBlu-rayソフトなどは使わないのか
「画づくり」のところでは使う。あくまで色づくりでは、ランプがフィルムを透過した色を一点一点解析している。それが今回の「フィルムモード」。映画館に近いものを持っていると考えている。事実これはフィルムなどの専門機関で見てもらい、お墨付きを得ている。もちろんフィルムと全く一緒というわけではないが、家庭での再現ではかなり近い質感だと言われた。


ソフト面での改善はわかったが、ハード面ではどうか
光学エンジンなども含め、かなりある。特にLSIがキモではないか。実はHD950ではカラーマネージメントなどを既製品のLSIで処理していたが、今回のX7はJVCのオリジナルをつくった。だから、もちろんソフト面でのフィルム解析などもあるが、それを処理できるLSIを搭載したというところがある。


ユーザーが使わないと画質調整機能は意味ないと思うが、それらを啓蒙する取り組みはあるのか
日本ではほとんどない。国内モデルだとモードを選ぶだけだが、実は海外モデルだとTHXISFキャリブレーションができる。海外ではキャリブレーションを行う文化がある。メーカーが設定した画よりも、自分で調整したりインストーラーなど専門家に依頼する場合が多い。従って、我々もそちらへ主眼を置いている。日本では予めプリセットされた設定を選んでもらうことを前提としている。前提が違う。もちろん自分で調整をされるユーザーもいるが、難しい調整なしに、例えば「フィルムトーン(X7のみ)」で比較的簡単に設定をできるようにしている。X7はX3に比べ多彩なプリセットが選べる。そしてキャリブレーションが可能というところが、X7を選ぶバリューであると言える。


2,3年前に比べて進歩しているところは何か
実は「フィルムモード」は研究所の者が3年前に既に考えていた。これはDLA-HD100の時のこと、しかしHD750/350の世代で実現できなかった。発想はあったが、LSIが追いついていなかった。解析するにも時間がなかった。フィルムの解析は大変な作業だ。それが正直なところの事実。翻って見れば、この辺りは現在DLA-HD1やHD100を使っているユーザーにも訴求できる点ではあると思う。


LANポートがついているが、どういった使用を想定しているのか
LANはあくまでRS-232Cの代わり。日本では赤外線(IR)を使ったプログラムが多いが、海外ではやはりLAN。将来的にはもっと活用していきたい考えだが、もう少し時間がかかると思う。


Apple製品を端末にしたコントロールなど、操作系統にイノベーションは起こらないのか
一気にはできないが、そういう方向にしていきたい。


3D対応が控えめだが、ディスプレイに比べてまだ3Dは難しいというメッセージなのか
そうではない。まず2Dの基本画質がもっと良くならないと3Dは楽しめないということ。去年のモデルでそのままやっても、例えば明るさが足りなかったり、メガネをかけた時に色が変わってしまう。そういった基本画質のところで、調整できる機能がないといけない。ブームだから良いが、3Dはどうなんだろうとせっかく観た時にがっかりして欲しくない。3Dを一過性のものにしたくない。


3Dの優先度が低いように感じるが、消費者はどうのように解釈すればよいか
ディスプレイよりはプロジェクターのほうが3Dに向いていると思う。またそれをもっとプッシュしていきたい。ただリリースされている周辺機器やソフトもまだ充実していない。これからだと思う。JVCの製品づくりは、どちらかと言えば映画館からおりてくる感じだと思う。映画館での3Dはかなりメジャーになってきているし、設備も整ってもきている。映画館で3Dを観て、それを家でも楽しみたいという人たちに、3Dを用意したい。だから我々は他社と違い、両方とも3D対応にしている。どちらを買っておいても、観たいと思った時に観られる。


製造についてはどうか
外装やアッセンブリーは中国。エンジンなどは日本で製造し、あちらへ送っている。


価格面での声もあるが、機能を削いでCPを上げる発想はないのか
プロジェクター市場でJVCに対するある程度のブランドやクオリティのイメージがあると思う。やっぱりJVCの商品は「画が良い」「黒が沈む」と言って頂ける。だから中途半端にしたくない。中途半端な商品にしないとなると、やはりお金をかけなければならない。コストパフォーマンスの点では、3D対応という機能を付けてJVCのクオリティを最低限確保できている。それで50万円を切る。CPは高いんじゃないかと思う。


今後も消費者はJVCは高級機を用意してくれると考えてよいか
はい。それしかつくれないですから(笑)




written by Kyo_Yamada
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2010年11月04日

B&W 800Diamond | 澤田龍一氏による解説 part.4

澤田龍一氏による解説 part.4
弊社で行われたB&W 800Diamond試聴会を公開いたします。(全4回)
D&Mホールディングス/マランツ・ブランド・音質担当マネージャーの澤田龍一氏を講師に招いた、B&W 800Diamondの詳細な解説です。試聴会の実際の映像と、氏の発言を読みやすく編集した文字の両方でお届けいたします。日本国内でもまだ出荷数・展示数ともに少ない本機について、少しでも知っていただける機会になれば幸いです。




動画の音声を聴きながら、文面を追ってご覧ください。

コーン紙からも音は漏れている




なかなかうまく作ってますね。サウンドデザインをするのに、やっぱりその、空間の表現というのがよくわかっていると、こういうものができるんです。みなさん今のレコーディングスタジオに行かれると、70chとかの調整卓のデカいのがあって、正面の壁にラージモニターというバカでかいスピーカーが埋め込んであるんですが、今はラージなんか全然使うことないです。調整卓の上に乗っかってるちっちゃいスピーカーで、ほとんどやっちゃうんです。最近は多チャンネルで最初っから録っちゃうことが多いので、こういうトールボーイのスピーカーを、5本最初から入れているところが多くなってきています。こういう横幅の広くないスピーカーは音の回り込みがスムーズなんです。こういう空間表現をさせるには結構良いんじゃないでしょうか。

以上、ミッドレンジまでご説明したんですが、次にウーファーの方をお話しします。まずウーファーのコーン、今私が手に持っているのは、800の一つ下の802のウーハーのコーンです。ボイスコイルの直径がだいぶ違いますけど。こっち(800のボイスコイル)は3インチ/76mm、これ(802のボイスコイル)は36mmかな。それでこのコーンなんですが、これはロームっていうドイツの会社の、「ロハセル」とか「ローセル」とか呼んでいるんですけど、そういう材料を使ってます。高分子の材料の発泡体、まあなんというかポン煎餅みたいなものです。柔らかいんですよ結構。これは曲面成形もできます。その前と後ろの表面にカーボンファイバークロスを貼りつけたものですね。このローセルっていう芯材のところはそんなに強度がないんですけど、表裏にクロスを貼り付けるとやたらに強くなるんです。軽くて非常に強い。これは何に使われているかっていうと、今の新しい新幹線のボディ、流線型になってますね。あのボディとか、他にはミサイルやスペースシャトルの先端のノーズの部分。ああいうところに使われているんです。軽くて強度もあって熱にも結構強い。こんなに厚いんですよ。コーンの厚さが1cmぐらいある。これがミソなんですけどね。こういう物をコーンの材料に使っています。面としての強度はすごくあるんですが、一点をギュッとやると凹んじゃいますけどね。

なんでそんな物を使ったのかというのは、実は遮音のためなんですよ。防音室の扉と同じ。キャビネットの中の音がコーンを透かして表に出ないようにそれで厚くしてる。遮音のためなんですね。そういう役割を果たさせています。箱の中ってモゴモゴもごもご妙な音がいっぱい充満してるんですね。それは、スピーカーの教科書では、ここにユニットが蓋をしているから外には洩れないことになってるんですけど、例えば多くのフルレンジスピーカーなどは、厚さが1mmぐらいしかない紙のコーンを使ってますね。しかし障子紙の向こうでしゃべってる声は聴こえますから、それと同じで、キャビネットの中の音はコーンを通過して聴こえちゃうんです。それが本来のユニットから出てくる音に混ざって、混濁を起こすのはよろしくないというんで、コーンを遮音型にしちゃった。それがこのコーンを使った理由です。強度だけだったらこんな厚さは要らないんです。このローセルっていう材料を最初にコーンに使ったのは、フォーカルですね。JMラボの。ただね、彼らは軽くて強度があって損失が大きい、ということで採用したんだけれども、遮音という概念は彼らになかった。だから3mmぐらいの厚さでした。それに対してB&Wのはやたらに厚くて、いわゆる箱の中の音を通さない。だいたい20dBぐらい減衰させます。そういうようなことをやってるわけですね。

さて、もう一つ。今度はライブをおかけします。そこにもDVDがありますけど、女性ボーカルのサラ・K、それからクリスジョーンズ男性ですね。この二人のライブを聴いていただきたいと思います。レーベルはドイツのストックフィッシュ・レコードです。これもハイエンド・オーディオマニア向けのレーベルですね。いろんなものを出していますが、こういうシンプルな、ギターとボーカルとかね、そういうものが多いです。これも割り合い素直な録音で、あんまりややこしいイメージにはしてないですね。モニタースピーカーは、初代のノーティラス801です。

(再生 略)
低域をいかにコントロールするか




さて、実際のウーファーユニットがこれなんですけど。これが実物です。この外側に見えているのは、これ実はユニットを押さえ込んでいるフランジで、フレームではないんです。これを外すと、中からユニットが出てきます。これ本物の800Diamondのウーファーです。先程ご説明したとおりコーンはこの幅が、幅っていうんですか厚さが1cm近くあるんです。

磁気回路は見慣れない格好の磁気回路になってまして。今回の800Diamondの一世代前の800Dのウーファーがこっちですね。これはいわゆる一般的なフェライトマグネットを使った磁気回路です。大変重くて15kgぐらいありますか。こんなにデカいんです。マグネットの直径が22cmちょっとあったと思います。これは、まあ要するに一般的なフェライトマグネットですよ。バカでかいね。実はこの800番には、25cmのウーファーがダブルで入っているんですが、最初のノーティラス800シリーズの時には、800って番号の製品はなかったんです。一番トップは801だったんです。38cmのウーファーが一発で、ミッドとツィーターが同じような構成ですね。B&Wは本物のスタジオモニターとしての801を導入したんですが、なかなかその大口径ウーファーを持った801を、スタジオユースならいいんですけど、一般の部屋に持ち込もうとすると低域の処理が非常に難しい。スタジオでは、50cmぐらい持ち上げてますからね。コンソールから頭が出るように、こんな高さに置いてますから、床の反射が一般の状況と全然違うんです。ですから、耳の高さに合った低いところに置くと、結構床からの反射が出てきてやっかいだというんで、800番をつくったんですね。

その時に、そのノーティラス801の38cmウーファーの磁気回路をそのまんま使って25cmウーファーをつくっちゃった。新しい磁気回路を起こさないで流用したんです。ですからこの磁気回路、これ実は38cm用の磁気回路なんです。そのままなんです。ボイスコイル径も、100mm、10cmあります。新しい磁気回路つくらないで流用してフレームを小さくしただけで25cmのウーファーをつくっちゃった。でまあ、こんな直径の小さなコーンを、こんなにバカでかい磁気回路で強引に押さえ込んで、801でコントロールの難しかった低域を、とにかく電磁制動かけちまおうと、まあそういう考え方だったんですね。

それに対して今度のやつは、妙な格好をしてますけど、フェライトではなくてネオジムです。で、それが磁気回路に二つ入っています。先程ご覧になったフェライトの磁気回路が、背中合わせに二つくっついているような構造になってまして、要は、コーンが出たり入ったりする時に、磁気回路がプッシュとプルで二つ背中合わせに入ってますから、「出」と「入」が同じ力なんですよね。それに対して一般的な磁気回路は、「出」と「入」が同じじゃないんですよ。出る時と入る時の駆動力が完全には同じではないんです。スピーカーっていうのは常にこういう風に動くわけですから、「出」と「入」が完全に対称になるように磁気回路を組んだのが今回のユニットですね。まあ構造としてはそういうものです。

それでもって、サスペンションをね、このダンパーですね。これが、どちらもダブルダンパーで、この幅で二枚上下に貼ってあるんですが、そのダブルダンパーの設定がまるっきり違ってまして、数字にすると、エフゼロにするとそんなに違わないんですけど、(800Dのものは)すごくサスペンションが硬いんです。それに対してこれ(800Diamond)はもう、ほとんど、なんて言うんですか、機械的な抵抗がない、そういうような非常に初動感度の良い、柔らかいサスペンションです。この800の下に802っていうモデルがあるんですけど。そのウーハーのボイスコイルがこれなんですよ。これが旧型の802、これが今の新型の802。ボイスコイルの径も違います、巻幅も違います。でまあ、ボビンも長いんで、ボビンの強度も、こっちはまあカプトンですからこんな感じですけど、非常に強いものに変わっています。一番違うのはダンパーの設定で、非常に柔らかでしなやかなものになっています。使ってある繊維が細いんです。旧型はかなり太い繊維で、どっちかって言うと安定度重視設計。こっちは非常に初動感度の良いものに変わっています。

さてウーファーですから、少し低い周波数を入れてみたいんですが、今度はCDで、これは北欧の、ノルウェーだったかな。教会の中、パイプオルガンをバックにして、ソプラノ・アリアが真ん中にあります。女性がそこで歌っているソプラノ・アリアと、パイプオルガンっていうのは建物ごとの楽器ですからね。まあそのスケール感の対比ですね。それを聴いていただきたいと思います。

(再生 略)
弊社よりご挨拶




というようなことで、始まりがちょっと遅かったんで、少し時間が遅れましたけど、一通り内容をご紹介させていただきました。せっかくお集まりいただいたので、ご挨拶をして頂いて・・。

<弊社>
今日はどうも長時間ご参加いただきましてありがとうございました。

私どもこのB&Wのスピーカーを使い始めて、マトリックスから数えて4代目になります。個人的な感想なんですけれども、過去3代から相当飛躍したスピーカーになってるんじゃないかと思います。今後も(800Diamondは)ずっとこちらにおりますので、機会があればまたお越し頂いて、試聴していただければと思います。

それでですね、この後は隣に飲み物もご用意しておりますので、色々と澤田さんにご質問等がありましたら、お茶を飲みながら、ディスカッションをしていただければと思います。またアンケートを用意しておりまして、今回初めてこういう弊社の視聴室でイベントをさせていただいたものですから、皆さんの「こんなことやったらどうですか」というご提案も是非知りたく、アンケートを用意しました。よろしければお書きいただきたいと思います。それと、もしなにかCDなどお持ちでしたら、少しお時間がありますので、リクエストに応じて自由に視聴できるようにしたいと思います。

では今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


追記

全四回の連載記事はいかがでしたでしょうか。

動画公開したB&W 800Diamondの試聴会では、ウーファーの解説がさらに3パートほどありましたが、弊社の不備でデータが破損しており、公開に至りませんでした。できることなら当日行われた試聴会を完全な状態で公開するつもりでした。原因はわかっていますので、次回以降はきちんと皆様に価値ある情報をお届けできると思います。是非ご期待ください。

弊社はホームシアターの施工を中心に、オーディオ機器の販売も行っております。800Diamondの試聴会ではMarantz社のフラッグシップモデルをお借りいたしましたが、通常は国産のZandenAudioSystem社の製品を使って800Diamondを展示しております。多種の製品を比較試聴することはできませんが、コンポーネントとしてクオリティの高いシステムを試聴して頂けるようご用意しております。オーディオ機器の性能判断は、リラックスした状態でお手持ちのソフトを試して頂くことが基本です。事前のご予約で、最低1時間はご試聴して頂ければと思います。是非、十分にお時間をとってお越しください。

written by Kyo_Yamada
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2010年10月29日

B&W 800Diamond | 澤田龍一氏による解説 part.3

澤田龍一氏による解説 part.3
弊社で行われたB&W 800Diamond試聴会を公開いたします。(全4回)
D&Mホールディングス/マランツ・ブランド・音質担当マネージャーの澤田龍一氏を講師に招いた、B&W 800Diamondの詳細な解説です。試聴会の実際の映像と、氏の発言を読みやすく編集した文字の両方でお届けいたします。日本国内でもまだ出荷数・展示数ともに少ない本機について、少しでも知っていただける機会になれば幸いです。




動画の音声を聴きながら、文面を追ってご覧ください。

現状でケブラーより良い素材がない




以上、ツィーターの説明でした。今度はミッドレンジです。B&Wはこの黄色い、いわゆるケブラーコーンと言うものがB&Wのトレードマークみたいになっているんですけど、実は、このケブラーという繊維は、化学メーカーのデュポンが1970年代に開発した、まあナイロンの強いやつです。柔らかいんですけど非常に強い繊維です。何が強いかと言うと引っ張っても伸びない。変形しないとか硬いとか言うんじゃなくて引っ張って伸びない。だからまあ、釣り糸などに使われたりするんですが、一番有名な用途は防弾チョッキに使われています。繊維が伸びないということは、弾が飛んで来たって貫通しませんしナイフも通りません。引っ張り強さは鋼鉄の5倍です。非常に伸びに対して強い。

そういう繊維で布を編んでコーンをつくると、どうも音が良いということをB&Wの創業者のバウワーズさんが見つけまして、それでスピーカーをつくったら非常に良かったんで、78年に特許をとったんですね。それ以降B&Wはずっとこの黄色いコーンを使い続けてきたんです。特許が有効なのは20年ですから、98年には切れてしまいましたので、今は他のメーカーさんもお使いになっています。私はB&Wのイギリスの工場には10回以上行っていまして、ラインからプレスする前のケブラーっていうのを持って帰りました。これですね。コーンを作る前の原材料です。これを型でプレスして熱をかけて、ここに熱硬化性の樹脂を浸してありますから、固まったら型からはずして、ヒラヒラしている周辺を歯型で切り離して、コーンをつくるんですね。これがケブラーの現物です。

そういうようなものをここに使っているんですが、なんでケプラーが良いのかということは、それを開発した70年代後半ですね、その時には理由がよく解らなかったそうです。まあとにかく聴いたら良かった。スピーカーというのは、先程ご紹介したツィーターは非常に硬くて、かなり高い周波数までピストンモーションするんです。ミッドレンジはですね、350Hzからだいたい5kHzぐらいまで。まあクロスオーバーは、4kHzって言ってますけど6kHzぐらいまで使っているんですが。もうピストンモーション領域を超えて、分割共振領域、コーンがこんなふうにたわみだす領域まで使っています。いったん分割共振を始めると、そのままのフォームの格好を伴いながら動くわけじゃなくて、まあこんな風になるんですが、ケブラーコーンの場合、この織り目に沿ってゆがみができるんです。こういう織布つまりこれは二軸織りですから、要するに丸いコーンが四角くモーションを起こすんです。織り目がありますからね。そうすると、このスピーカーを動かす駆動ポイントはボイスコイルですから、一番根元ですよね。根元から伝わった力が或いは振動が、コーンの周辺まで行ってまた帰ってきて、そこでスタンディング・ウェーブ、まあ言ってみれば一種のエコーを生じて音を悪くするんですが、同心円だとボイスコイルからの距離が、どの角度でも一定なんですよ。ですから、スタンディング・ウェーブを起こす周波数がある特定のところに集中しちゃうんですけど、四角だと距離がランダムですよね。それで特定の周波数にピークがでたりディップがでたりしないで平均化されちゃう。それが実際の利点なんだそうです。今はそれがレーザードップラーなどで解析が出来るようになったんで、まあヴィジュアル化して見ればそういう風なモードで動いていると、あぁ!なるほどねと言うようなことが分かるようになってきた。当時はよくわかんなかった、ということです。 でまあB&Wはこの黄色いコーンを、もうそれこそ30年に渡って使い続けているんですが、そろそろ新しいものは無いのかっていつも聞くんですけどね(笑)、彼らの回答は、少なくともミッドレンジにおいてはこれより良いものを、今のところは見いだせないというのです。

さて、じゃあもう一曲ミッドレンジを聴いていただこうと思います。今度もスーパーオーディオCDで、これはエクストンレーベル、オクタビア・レコードのスーパーオーディオCDです。マスタープレスの『展覧会の絵』のピアノソロです。これは2004年に録音されたものなんですけれども、東京音楽大学の中のスタジオです。これはもうホールじゃなくてスタジオ録音。マイクロフォンは非常に近いです。ですからよくオーディオマニアが喜ぶような、ギャーン、ガバーンっていうね(笑)音がします。ホールの中に落ち着いて収まっているってのじゃなくて、結構近接で録ったものです。そういうものなんですが、このディスクは普通に売っているものと違って、マスターサウンド・シリーズと言って、プレスが一つ若いステージでなされている。まあ原盤からのマザーでプレスしているという風に書いてあります。これは2万円かな?限定プレスなんでほとんど残ってないと思いますけどね。ピアニストは、清水和音さんです。ご存知ですか?それじゃあ『展覧会の絵』の頭の部分を・・。

(再生 略)
こけし頭の形状で音の広がりを




さて、そのケブラーコーンを使ったミッドレンジですけれども、これが実物のユニットです。このコケシの頭みたいなもの、ヘッドって呼んでますけど、その中に入っているユニットそのものです。これはコーン型なんですが、ほとんどストロークがないんです。どうでしょう・・プラス/マイナス1mm動きますかね。非常に硬いサスペンションです。コーンの面積は結構ありますよね。

エッジが変わってまして、このウーハーみたいにコーンの外側に膜を持つエッジではなくて、ここにウレタンが見えますけど、ウレタンの潰してないヤツね。ふっかふかのウレタンの上にコーンが乗っかってるんです。もちろん接着してありますけど。コーンがウレタンを圧縮・伸張するかたちでサポートしているんですよ。外から見えない、まあ一種のエッジレスタイプって言うんですかねえ。面積のある膜のようなエッジがないっていうことです。エッジからの音の放射が嫌なんですね。まあそれで圧縮・伸張でサスペンションのサポートをやらせているんです。この、一番ど真ん中にフェイジング・プラグと呼んでるものがあります。これはアルミのブロックなんですが、これを外したらその中が銅色に光っています。銅キャップですか。これがショートリングになるわけですね。

それで磁気回路なんですが、初代のノーティラス800シリーズのミッドレンジでは全てフェライトマグネットだったんです。これぐらいの大きさのフェライトだったんですが。今のひとつ前のシリーズからネオジムマグネットに替わっています。トッププレートの厚さが10mmもあります。先程申し上げたように、ボイスコイルのストロークがほとんどありませんから、こんなにプレート幅は必要ないんですがねえ。ボイスコイルがトッププレートを外れるなんてことは絶対にないと思いますけど(笑)。まあ非常に贅沢な磁気回路の仕様になっています。

先程のツィーターのハウジングは亜鉛のダイカストですけれど、ミッドレンジのハウジングであるこの部分、これはマルランっていう材料です。マルランで造られているこの花瓶みたいなハウジングは一番厚いところで80mmあります。やたらに分厚くて重いんです。この内部の形状も変わっていて、球形と先程の逆ホーンを組み合わした形です。非常に変わった格好になっています。なんでこんなことをやっているかというと、先程申し上げたように、できるだけユニットから出た音が反射したり回折を伴ったりして乱れたりしないように、できるだけ外形の面積を小さく流線型を保ってます。内部は消音器です。それで狙ってるのは音の広がりですね。できるだけ素直に広がらせたい。それでもって、空間表現、立体音響表現を非常に優れたものにしたい。そういうB&Wの狙いがあると思います。

今度おかけするのはテクノ・ポップです、テクノの帝王クラフトワーク「ツール・ド・フランス」というアルバムですね。35年ぐらい前にアウトバーンというアルバムがありました。とても懐かしいですけれどプログレッシブミュージックのはしりでした。これはもう完全なシンセサイザー・ミュージックです。2003年に発表されて大変有名になったアルバムで、ツール・ド・フランス、つまりフランスの自転車レースをテーマにしたテクノ・ポップなんです。これをおかけするんですが、シンセサイザーで作り上げたサウンドの世界なんですが、非常に空間をうまく使って音を表現をしている。単純に右からギターがでます、左からドラムがでます・・というのではなくて、位相をうまく使って、音の重なり合いだけじゃなく空間表現をうまく捉えて、立体的に音をつくっている。それを聴いていただきたいと思います。

(再生 略)

Part.4へ続きます)



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