残響とは室内で音を発生して、これを急に止めたとき後に残る響きをいう。この場合の音であるが、室内の音が定常状態に達するまで、十分長い時間―といってもせいぜい数秒程度でよいのだが―発生させることが必要で、拍手のような接続時間の短い音を発生したとき、あとに残る響きは厳密な意味では残響とはいわないでエコーと呼ぶ。残響は英語では reverberation 、カラオケで使用するリバーブユニットのリバーブはここに由来している。
「静けさ よい音 よい響き」/永田 穂 1986

2010年12月01日

ホームシアタープロジェクターを購入する【試聴編】

プロジェクター購入のポイント ~試聴編~
前回に引き続き、プロジェクターの記事です。

今回はプロジェクターの「機能」と「性能」のうち、代表的なものを紹介したいと思います。記事の後半では、実際に販売店へ足を運んだ時に確認しておくべき項目もとりあげています。ご自宅での下調べのあと、販売店で試聴する際に、参考にして頂ければと思います。少し長い記事ですが、これからプロジェクターの導入をお考えの方にぴったりだと思います。

ここで、少しだけ宣伝させてください・・。Victor/JVCのプロジェクター試聴は、是非弊社へ!

プロジェクターの機能
プロジェクター製品のメインとなるのが「画質調整」の機能です。
どんな製品でも基本性能があり、それを調整して、さらに性能を引き出します。車でもエンジンが小さいものでは、性能に限界があるのと同じで、プロジェクターも大体の性能がはじめから決まっています。「画質調整」を行うことで、ノーマル車から自分にあったセッティングの車に乗り換えましょう。

以下では、すべてのプロジェクターの機能をご紹介はできませんが、代表的なものをいくつか挙げてみます。

明るさの調整
・ガンマ調整
>なにこれ?
「画面の明るさ」を調整するものです。
>なんでついてるの?
ソフトやハードによって、画面に映るものがばらばらだったりします。状況によって映像が見えにくい場合は、これを調整して快適にしてあげます。


下の画像では、右半分は建物の影になっていて、何が写っているのかよくわかりません。こういう時は、ガンマ値を調整してやりましょう。
gamma-1.png


下が補正した画像です。暗部がもちあがり、影になっていた部分が見えやすくなりました。
ちなみにこの画像はAdobe社Photoshopという画像編集ソフトのスクリーンショットです。右端に「トーンカーブ」という調整パネルがありますが、これで画像を調整できます。プロジェクターでも同様にこうしたカーブでの調整ができるものが多いです。
gamma-2.png


トーンカーブの他にも、「ヒストグラム」と言われる分布図を用いたガンマ調整もあります。プロジェクターにはないと思いますが、参考までに。下は元画像です。
gamma-3.png


ヒストグラムでの調整画像です。極端に調整をかけましたので不自然な画像ですが、影の部分が完全に見えています。
gamma-4.png


このように、ガンマ値を調整/補正することで、映像の「明るさ」を調整することができます。もちろん、暗くもできます。ちょっと明るく浮きすぎだなという場合は、ガンマ値の補正で全体を沈ませます。


「フィルムトーン」(Victorすごい!)
>なにこれ?
誰でも難しいこと考えずに、簡単に明るさを調整する機能です。
>なんでついてるの?
実は、上で紹介したトーンカーブは結構調整が難しかったりします。どこかのパラメータを動かすと、どこかが崩れてしまったりします。DLA-X7/9に搭載された「フィルムトーン」の機能では、画像の破綻を来さずに、明るさの調整が手軽に行えます。


先日の内覧会で、「これいいな・・」と思ったのが、この「フィルムトーン」です。
日頃から写真をPhotoshopなどでいじっている人には、かなりこの機能のありがたさがわかるものだと思います。画像(や映像)の明るさを単純に調整すると、「画(え)」としてのバランスが破綻することがよくあります。それを最小限にとどめる微妙な調整が必要で、なかなかやっかいです。例えば上に挙げた4枚目の写真では、完全にバランスが崩れています。あれは乱暴に暗部をもちあげたからです。

内覧会時のデモンストレーションでも、フィルムトーンを調整すると、少し処理にタイムラグがありました。恐らくCPUで映像を解析して、最適値を出しているんだと思います。だから破綻なく、階調を調整できるんですね。Victorすごい!


カラーの調整
・画質モード/カラーモード
>なにこれ?
鑑賞する映像ソフトにあわせて、色の具合を選べます。
>なんでついてるの?
明るさを調整する以上に、色の調整はパラメータも多く大変です。鑑賞する映画によって、ユーザーが細かいパラメータを調整するなんて無理なので、メーカーがあらかじめタイプに合った設定(モード)を作ってくれています。JVCのDLA-X7/9では、なんと12種類の画質モードが選べるようになりました。他のメーカーでも、例えばEPSONのEH-TW4500では7種類のカラーモードが搭載されています。


これの何がすごいかって、「色」の調整を知るとわかります。基本中の基本として、「光の三原色(Red/Green/Blue)」があります。これに「Cy(シアン)Mg(マゼンダ)Ye(イエロー)」を含めた6色、さらにJVC X7/9では「Og(オレンジ)」を追加した7つの色を調整できます。これらのパラメータを映画ソフトにあわせて、毎回のように調整するなんて、気の遠くなる作業ですよね。一方、毎日映像と格闘しているプロ中のプロが導きだしたプロファイルを利用できるのは、非常にありがたいことです。特に次項で紹介する色調整が行えないモデルでは、メーカーが用意するモードの、いわゆる「つくりこみ」に期待するしかありません。


・カラーマネージメント
>なにこれ?
ユーザーのお好みにあわせて、色の具合を「調整」できます。
>なんでついてるの?
メーカーが用意した「画質モード/カラーモード」を、もう少し好みに調整したい人がいるからです。また、作品の意図を忠実に再現するには、お客様のシステムや環境条件による微妙な差を調整する必要があります。


Victor製品では、X3には搭載されていない機能です。上位機種のX7/9が持っている機能となります。カラーマネージメントの機能では、「色相」「彩度」「明度」の3つを調整できるのが一般的です。あまり馴染みのない用語でとっつきにくいのですが、具体例を見れば簡単に理解できますので、以下で少し説明したいと思います。

まず、「色相」です。下の画像は、蛍光灯の光る屋内で撮影したものです。なんとなく緑がかっていますが、実際はこんな感じではありませんでした。
color-a1.png


この不自然な緑を修正したい。こういう時は、「色相」で緑を調整します。下の画像が修正後です。どうでしょうか?自然な感じになりましたね。「彩度」も少し下げていますが、「緑」に対してのみ調整しているため、赤い絨毯の色はそのままです。
color-a2.png


次に「彩度」ですが、これは簡単ですね。色の鮮やかさの調整ができます。下が元画像です。
color-b1.png


当然、彩度を下げると「白黒写真」に近くなっていきます。これも、「赤に対してだけ」のような調整が可能です。
color-b2.png


最後に「明度」です。上記で解説した「ガンマ調整」とどう違うの?というのを見てもらいます。下が元画像です。
color-c1.png


下が「明度」を上げた状態です。暗いところから明るいところまで、まんべんなく明るくなります。従って、元画像の「最も暗かったところ」のレベルもあがっています。
color-c2.png


比較用に「トーンカーブ」での補正も並べておきます。
color-c3.png


カラーマネージメント機能のあるモデルでは、こうした細かい調整をすることが可能です。もしこの機能がなくても、前項で紹介した「画質モード/カラーモード」で、メーカーの技術者が上記のような「色相」「彩度」「明度」を調整してくれた設定が使えるわけで、これも製品コストのうちと考えて良さそうです。


新7軸カラーマネージメント(Victorすごい!)
>なにこれ?
一般的な6色に「Og(オレンジ)」を加えた7色を調整できて、しかも調整時の画面では、調整したい色だけを出力できます。
>なんでついてるの?
Og(オレンジ)は、人肌の色をコントロールする時に調整の機会が多いパラメータです。「R(レッド)」と「G(グリーン)」をかけ合わせて作れますが、独立してオレンジを設けると調整が楽です。


これがないと困るわけではありませんが、多くの場合、人肌はオレンジ色に近く、映画ソフトでは頻繁に調整の対象になります。この時、「R」と「G」を別々に調整するよりも、簡易的にではあるものの、「Og」を調整できるのは便利です。また、調整したい色のみを表示してくれる機能も追加されました。ただ、人間が色を認識するときは、周辺の色情報に大きく左右されるので、特定の色だけを見て調整するのはあまり合理的ではないのでは?という疑問があります。

以下は参考までに。有名な画像ですね。「A」と「B」のタイルの色が、実は同じというやつです。人間の認識って、とてもおもしろいですね、という程度の参考までに。
color-example.jpg



プロジェクターの性能
さて、プロジェクターの「機能」を紹介してきましたが、次は「性能」を見ていきたいと思います。
言葉の使い分けが微妙なのですが、「性能」は製品が最初から持っている能力です。まったく「機能」を使わないで発揮できる、製品自体がもつポテンシャル、素の状態に焦点をあててみましょう。特に、プロジェクターの心臓部ともいえる液晶デバイスの性能差は、仕組みや技術的なことは難しいのですが、自分なりに整理して理解しておきましょう。

以下では、実機を試聴するときに注目してほしいポイントを3つ挙げています。

・画素の目立ち(グリッド)
透過型(EPSONやMITSUBISHI)のデメリットとしてよく挙げられるのが、素子と素子の間にどうしても生じる「隙間」です。
透過型では、各画素に駆動回路の配線が必要です。昔にくらべ、現在はフルHDなど、映像がどんどん高精細になってきました。ピクセルが細かくなるほど、こうした隙間がどうしても目立つことになります。その点、画素と画素の間を限りなくぴたりと詰められるLCoS方式(VictorやSONY)には、絶対的な画質のアドバンテージがあります。
もちろんLCoS方式(反射型)のプロジェクター、つまりJVC/Victor、SONY、EPSONの三社でも性能に違いがあります。それぞれが開発・製造の段階で、ミクロ単位のしのぎを削っているわけです。SONYのWebサイトには、この辺りのデバイス・テクノロジーがわかりやすく紹介されています。(やっとSONYのサイトを紹介できました!)


・暗部の再現性
よくホームシアターのレファレンスソフト(参考になりやすいソフト)に、映画「ダークナイト」が使われます。
この「ダークナイト」には暗いシーンがよく出てくるのですが、一昔前の液晶テレビではとてもきちんと観れないような映像ばかりです。透過型のプロジェクターは、液晶パネルの後ろから光を透過させて映しているため、一番暗くなって欲しいところがどうしても明るくなりがちです。黒が沈んでいない映像は、全体が明るいため、上で例に挙げた「明度」を上げた写真のようになってしまいます。
こうして考えると、いくらコントラスト比が高くても、最暗部が明るくては意味がありません(仕組みがわかってきた方なら納得できるはず)。仕様に書かれたコントラスト比だけを見ていては、そのプロジェクターの性能は絶対にわかりません。


・色の再現域(色空間)
明るさの階調も大切ですが、色彩豊かな映像も当然ながら重要です。
色の再現性が貧弱だと、いくら画質を調整する機能があっても意味がありません。そもそも、その色が出ないからです。従って、「色の再現域」は非常に重要です。出来る限り、どんな色でも再現できるのが理想ですが、これは製品の性能に大きく依ってきます。
この「色の範囲」をわかりやすく図式化しているものが、「色度図」と言われるものです。JVCEPSONのサイトで解説に色度図が使われていたので、紹介しておきます。人間が認識可能な色の範囲と、機器で再現可能な範囲がひとめでわかります。再現範囲が広いと、それだけ表示できる色も豊かになります。

以下の画像は、シャープのWebサイトから参照した色度図です。このシャープのサイトは、色に関するデータが非常に豊富です。とても参考になると思います。
color-map.jpg


以上の3つの項目は、実機の試聴時に意識してチェックすることをお薦めします。


Victorのもつ特色
だいたい、どのメーカーでも共通する項目は挙げてきましたので、ここでVictorの持つその他の機能をご紹介しておきます。(一応、JVCの販売店ですので・・)ちょっと「Victorすごい!」的な内容ばかりになりますが、その辺りはご了承ください・・。

・Xenon(キセノン)ランプの光源色(参照)
DLA-X7/9では、映画館でフィルムを投映する際に使用されている、キセノンランプの色味を再現しています。
「フィルムライク」を追求するVictor/JVCならではのこだわりがここに現れています。わたしが以前技術者の方にインタビューしたときも、かなり力を入れている様子でした。なぜこれが効果的かと言うと、例えばあまり性能の良くないデジカメで写真を撮ると、たまに周辺の光や光源の具合によって不自然な色に写ったりしますよね。上述の「色相」の項でもわかる通り(蛍光灯での写真参照)、照明や光源によって色味はとても影響されます。従って、映写機のランプが持っている色を再現することが効果的なのは当然のことです。


・「黒レベル」設定(参照)
画面の明るさを調整する機能のひとつで、これはX3にも搭載されています。
専用のシアタールームがあって、ほぼ完全な暗闇状態にできれば良いのですが、リビングルームなどでは難しいです。外光がある場合は、その環境にあわせて黒のレベル調整をする必要があります。この設定モードでは、「ダークナイト」などのレファレンスソフトを一時停止したりしなくても、黒レベルを調整するための「テストパターン」を映してくれるので、調整がとても楽になります。


・新スクリーン補正モード(参照)
お客様がお使いのスクリーンにあわせた補正を実現できるモードです。
意外に周知が進んでいないのが、スクリーンとのマッチングです。あたりまえの話ですが、どこに映してもプロジェクターの映像が同じように見えるわけではありません。これは映画用スクリーンでも同様です。映画用スクリーンにも機能と性能があり、だから価格差もあります。Victorでは以前より、「◯◯メーカーの××モデルにはこれ」という研究をしていました。これ、すごいですよね。そのデータが蓄積されてきて、今回のX7/9ではなんと94種類のスクリーンから、お客様が持っているモデルを選べるようになりました。またX3でも、スクリーンの傾向に合わせた3種類のモードが選べるようになっています。

以上、Victor/JVCのプロジェクターならではというポイントを挙げました。


実機で確認すべきポイント
各社のプロジェクターが持っている機能や、性能についてご紹介してきました。
最後に、実際に試聴する時にしかわからない、ちょっとしたポイントを紹介します。他にも色々あると思いますので、こんなのは?というものがあれば、是非コメントをお寄せください。

・リモコン
いくらWeb上のサンプル画像を見ても、手に持ってみないとわかりません。
正直リモコンで製品の選択が分かれるということはないと思いますが、評論家の麻倉さんも著書の中で「リモコンの使い勝手が非常に重要」で、「ダイレクトキーがついているか」をチェックしていると言います。他にも、暗闇でもキーが光る「自照式」のものが良いです。これから良いプロジェクターを買って、調整も色々とこだわって楽しもうという方は、是非リモコンにも注目してください。画面を見ながら、片手で間違えずに操作できるものをお薦めします。
余談ですが、SONYさんはリモコンの写真ぐらいWebで見れるようにしたほうがいいと思います・・。


・メニュー画面
個人的にはこれから重要になってくるところだと思っています。
AppleのiPhoneがなぜ売れたかというと、快適な操作感があったからです。どれだけハイスペックな機器でも、操作画面がもっさりしていると使い物になりません。HDDレコーダーとか番組表とか、気が狂っていますよね。今後はもっとこうした面が重視されてくると思います。どのメーカーが先にテコ入れするか楽しみにしています。
あと、これまた余談ですが、Pioneerが最近リリースしたAV機器のコントロールアプリ「iControlAV」は、非常に秀逸です。一度触ってみてください。ちょっと感動します。ということで、実機を触るときは、必ずメニュー操作のレスポンスや画面の構成を見てください。


・倍速駆動
最近はご存じの方が多い機能ですが、一応。
正直、映画好きの方がこの機能を使う機会はあまりないと思います。普通の映画作品で使うと、結構違和感があるので。上位機種にはどれもついているんですけどね。あまりメーカーによるこの機能の差にこだわる必要はないと思います。そういうのを確かめる意味でも、実際に試聴してみることをお薦めします。


・販売店の対応
書くか迷ったのですが・・、一応。
プロジェクターの購入では、通販と店舗販売の大きく二つに分かれると思います。当然、前者は価格優先です。多くの通販は、「購入価格」という、その時だけの一過性のメリットです。で、オーディオ/ビジュアル製品は、基本的に組み合わせて使うものです。通販で買っていると、組み合わせた時に「あれ?」みたいになったりします。しかも長いスパンでそれを使い続け、一部の製品を新しいものに買い換えたりもします。
その分野に詳しい人ならいいのですが、口コミ情報サイトの充実で、そうでない人も通販でのポン買いをするようになりました。ちょっと違うかもしれませんが、例えば、Yahoo!オークションで中古車を個人から買う人って、絶対車に詳しい人ですよね。どれぐらいの管理費がその後必要でとか、そういう知識がある人です。炊飯器を買うのなら通販でいいのですが、正直オーディオ/ビジュアルは店舗販売で買ったほうがいいと思います。
実店舗でやってるから言うわけではないですが、安物買いの銭失いは、オーディオ/ビジュアル業界ではよくあることです。まあ、通販批判みたいにしかならないから、あまり書きたくなかったんですが・・。

実際に販売店へ行ったときは、対応はもちろん、雑談でも相性があうかなど、肌感みたいなものも見ておくと良いと思います。


まとめ
ここ最近ずっとプロジェクターの記事を書いてきました。

今回、全体的にSONY製品を紹介する機会がすごく少なかったのをお赦しください。正直なところ、参照ソースを明確にする基本に従って書いてきたのですが、SONYの製品はあまりにも情報不足でした。正直、あのWebサイトではなにもわかりませんでした。弊社が取扱店だったらクレームを入たいのですが、他の販売店からは苦情がないのでしょうか・・?もちろん、わたしももう少しVictor以外の製品を勉強すべきなのですが・・。

このブログ全体に言えますが、有益で参照にたえるソースには、できるだけリンクをつけています。どうしてもWikipediaへのリンクが多いのですが、このブログを読んでくださっている皆様の学びの一助になれれば幸いです。今後も、ホームシアターやオーディオに関連して、こういう記事を書いて欲しいというご要望があれば是非お寄せください。もしリクエストがあれば、メーカーの方に直接インタビューの申し入れをしたりとか企んでいます。また誤った記述などを発見された場合もご連絡頂けると幸いです。

次回以降の記事も、よろしくお願いいたします。



・こちらもあわせてお読みください
弊社リスニングルームの様子(2010.08.11)
スクリーンとディスプレイの違い(2010.08.28)
投資ゼロの音質向上Tips(2010.09.07)
【翻訳記事】HDMI to Infinity and Beyond[1](2010.09.13)
【翻訳記事】The 2010 CEDIA Show: Day 1(2010.09.30)
B&W 800Diamond | 澤田龍一氏による解説 part.1(2010.10.21)
written by Kyo_Yamada
【記事のTopへ戻る】


posted by HCA at 16:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ホームシアター | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月20日

ホームシアタープロジェクターを購入する【調査編】

プロジェクター購入のポイント ~調査編~
今回は「調査編」と題して、実際の購入プロセスを想定した記事を書いてみようと思います。

私も一人の消費者として、何かを購入するときはインターネットを使って下調べをします。ファッションなど他の分野に比べて、家電製品やパソコン機器はネットでのクチコミ情報が豊富です。また家電製品など電気機器の場合、「見て・触って」の定性的な最終判断が必要なものの、わりあい、「機能・仕様」など定量的な判断が可能なこともあります。もちろん、一番重要なのは自分の目で確かめることですが、それもクチコミ情報である程度フォローできるようになってきました。

余談ですが、最近はネットでの下調べが増えたものの、依然としてファッションは雑誌が主な情報源です。個人的な感想ですが、ファッション分野の雑誌は、あまり情報や評価に変なバイアスがあまりかかっていないから気にいっているのかなあと思います。VOGUEに代表される長い歴史が持つ、ファッション誌業界のプライドとか誇りを感じる気がします。

前置きが長くなりましたが、以下でインターネットを使っての下調べをまとめます。実際の店舗へ行く前に、持っておく情報をさらに強化しましょう。


下調べ:「価格」を知る
価格は、そのモノの価値を最も効率よく、平均的に知ることができる唯一の指標です。とても便利です。何を当たり前のことを、と感じるかも知れませんが、最初に価格帯をきちんと把握しておくことで、製品の性能やグレードがだいたい頭に入ります。情報の整理がしやすくなります。ですから、ここでは「自分が買える範囲」を測る指標ではなく、プロジェクター製品の性能・グレードを測る指標として役立ててみてください。

下図は、前回でもとりあげた国内4メーカー/16機種の価格分布です。

price-graf.png

(CC=BY, ND)
図中左から、
JVC | HD550 / X3 / HD950 / X7
SONY | HW15 / HW20 / VW85 / VW90ES
EPSON | TW3600 / TW4500 / R1000 / R4000
MITSUBISHI | HC3800 / HC6800 / HC4000 / HC7000

こうして俯瞰すると、各メーカーがどのようなプロジェクターをつくっているかがわかります。こうしたメーカーのポジションを地図化して、頭に入れておくと整理がしやすいと思います。

<参考になるサイト>
価格.com | プロジェクター

下調べ:「仕様」を知る

仕様については、数字で把握したほうが良いものや、時と場合であまり変化のないものをピックアップします。

・寸法
もしプロジェクターの設置場所が決まっていたら、寸法的に設置が可能か確認してください。特にラックなどに収納する場合は注意が必要です。据え置きにせず、使わないときは別の場所に置いておこうと考えている場合は、できるだけコンパクトなものが良いでしょう。また持ち出すことも考え、軽いものが適当です。
参考例:
MITSUBISHI LVP-HC4000 345×270×129mm(幅×奥行×高さ)
JVC DLA-X7 455×472×179mm(幅×奥行×高さ)

・重量
プロジェクターは、特にホームシアター用のプロジェクターは、意外に大きく、重いです。例えばJVC DLA-X7は15.1kgあります。MITSUBISHI LVP-HC4000はX7に比べかなり軽く、3.6kgです。寸法と併せて、重量もきちんと計算に入れておくべきでしょう。またプロジェクターを天井から吊り下げる(天吊り)となると、天井の強度が十分かが問題になります。ホームシアターのインストーラーに依頼しない場合、特に注意が必要です。
参考例:
MITSUBISHI LVP-HC4000 3.6kg
JVC DLA-X7 15.1kg

・端子
プロジェクターの端子には「映像入力」と「コントロール/制御」の端子があります。映像入力に関しては、今回とりあげている4メーカー/16製品については特に気にする必要はないでしょう。いくつかのモデルで、PCアナログ(D-sub15pin)やS端子のないものがありますが、基本的にHDMIがあるのでOKです。ホームオートメーションや統合リモコンなど、制御規格についてはどれもRS-232Cが搭載されています。また電源ON/OFF時に電動スクリーンを連動させるトリガー端子も搭載されています。
参考例:
EPSON EH-R4000の接続端子の様子

r4000-interface.jpg

・インターフェイスパネル
端子が揃うインターフェイスパネルの場所も把握しておきましょう。例えばJVC製品では、これまでのHDシリーズでは側面にあったパネルが、新しいXシリーズでは後方に変更されています。ケーブル類の長さがギリギリだと、本体を回りこんでの取り回しができなかったりする場合があります。意外に忘れがちなので、覚えておいてください。
参考例:
MITSUBISHI LVP-HC3800は背面にパネルを設計

hc3800-interface.png

・排熱ファン
棚の中に収納して設置する場合は、排熱ファンの位置に気を使う必要があります。冷蔵庫と同じで、間近に障害物があると十分な排熱を行うことができません。故障の原因ともなります。また自分の近くに置いて視聴する場合、意外に熱気が伝わってきます。特に夏場はやっかいです。排熱ファンの位置、プロジェクターの設置位置、視聴位置の3つをあらかじめ考えておきましょう。
参考例:
JVC DLA-X3の外観前面。位置だけでなく、排気の風向や強さも確かめたい。

dla-x3-w_spec.jpg

・騒音
ホームシアター用のプロジェクターは、騒音に配慮して設計されているので、あまり神経質になる必要はありません。だいたいどのメーカーも20db程度に抑えられています。ただし、「なんとかモード時」みたいな併記があるので、そういう製品はメモしておいて、実際に販売店で試聴する時に確認することを忘れないようにします。ちなみにMITSUBISHIの製品は騒音についての記述が見当たりませんでした。一応、取扱説明書のPDFもダウンロードして検索をかけたのですが、記述自体がないようです。
参考例:
EPSON EH-TW3600の場合、エコモード時22dBとのこと。

・ズームレンズ
スクリーンに映る映像のピントを合わせる時に、レンズを調整します。ピントなどの調整を手動で行うタイプと、リモコン操作によって自動で調整ができるタイプがあります。前者の手動タイプには、EPSON TW3600/4500とMITSUBISHI HC4000/3800があります。この他、レンズプロテクターが自動開閉式のものと、キャップ状の手動式のものという違いも各製品にあります。こうした項目も、地味ですが、長く付き合っていくうえで考慮したい項目です。
参考例:
EPSON EH-TW3600はレンズキャップを手動で開閉する仕様

tw3600.png
(画像は取扱説明書PDFより)

・投写サイズ
投写サイズ、つまりスクリーンのサイズについては、JVCとSONYは200インチまでの記載があります。EPSONとMITSUBISHIは300インチまでの記載があります。例えば屋外でのイベントなど、300インチに相当する大型スクリーンに投写する場合は後者になります。ただし、投写距離によって投写できるサイズの大小に限界があることを覚えておくべきです。

・投写距離
最後に投写距離です。投写距離は特に重要です。部屋が広い分にはあまり不自由しませんが、空間に余裕のないかたは、気をつけてください。一般に投写距離が短いと大きな画面が得られません。MITSUBISHI HC4000のように、最短投写距離をうりにした商品も中にはあります。画質や機能だけでなく、こうした投写距離の使いやすさも非常に重要なポイントです。
参考例:
各メーカーのサイトには、投写サイズ/距離が簡単に比較できるページが用意されています。

JVC | DLA-X9/X7/X3/HD950/HD550共通
SONY | 機種別
EPSON | 全機種対応(サイト左中央付近「投映距離シミュレーター」)
MITSUBISHI | 各機種の情報ページより(リンクはHC4000)


下調べ:「機能」を知る
プロジェクターの機能には、各メーカーの持つものと、製品が個別で持つものに分けられます。機能の詳しい解説や技術的なことは専門サイトに譲り、ここではその機能がどのように役立つのかを整理してみます。以下で紹介するもの以外にも、様々な機能がありますし、インターネット上だけでもかなり多くの情報が得られます。色々と調べてみてはいかがでしょうか。

・画質調整
各メーカーで調整項目や方式が異なるため、詳しい説明は各社のWebサイトでご確認ください。理解するポイントとしては、画質調整といってもプリセットされた「設定」を選べるのか、それとも細かい任意の数値を選べる「調整」ができるかです。大事なので繰り返しますが、「設定」と「調整」は違います。設定とは、あらかじめメーカーが用意している数値の組み合わせを選ぶことです。調整とは、メーカーの意図に関係なく、ユーザーが好む画質を表現することです。微妙な違いですが、この「できる・できない」で価格も変わってくるので、選ぶうえでの一つのポイントです。

・倍速駆動
倍速駆動は、映像のブレを軽減する技術です。JVCでは「クリアモーションドライブ」、SONYでは「モーションエンハンサー」と呼ばれているものです。スポーツの映像など、一瞬の早い動きはどうしてもブレた映像になります。電車や車に乗っている時に、視線を変えないで外の景色を見ると、横にブレて何がなんだかわかりませんよね。ただしこのモードを効かせ過ぎると、映像自体に違和感がでます。通常は切っておけば良いので、あって迷惑な機能ではありません。

・アイリス機構
カメラの絞りに相当する機構です。前回の記事でもとりあげましたが、JVCのように「ネイティブコントラスト比」でない製品は、だいたいこのアイリス(絞り)を使って高いコントラスト比を実現しています。少し乱暴な説明ですが、アイリスを絞ると、光量が減り、暗いシーンでは有利に黒を再現できます。明るいシーンでは逆にアイリスを開放することになります。おわかりだと思いますが、暗いシーンと明るいシーンが同時にある場合は、仕様表の通りのコントラスト比は再現できないことになります。メーカーでは、こうした暗い/明るいのシーンを識別して、アイリスの絞りを自動調整しています。

・レンズシフト
プロジェクターは通常スクリーンに対して、縦/横にずれた場所に設置されます。そのずれた分をレンズシフトにより、補正します。従って、このレンズシフト機能の対応範囲が広ければ、それだけ柔軟に設置場所を選べることになります。例えばEPSONのTW3600では、上下96%、左右47%の補正機能を持っています。こうした機能により、部屋の間取り上の制約がかなり緩和されます。スクリーンの正面に場所がとれないと諦めていた人も、レンズシフトに長けた製品を探して、是非もう一度検討してみてください。

・3D対応
現在のところ、一般に発売されるホームユース製品では、JVC DLA-X3/X7(プレミアムモデルのX9も)、SONY VPL-VW90ESの3機種が3Dに対応しています。JVCは3D専用メガネと、3Dを観るのに必要なシンクロエミッターは付属していません。SONYは製品に付属しています。3Dに関しては、性能や画質の評価に賛否両論がありますが、この記事は入門的な購入の手引きを目指しているので、画質への言及は控えておきます。また画質や性能については別に記事を書きたいと思います。


下調べ:「クチコミ」で知る
インターネットを使った情報収集では、やはりクチコミが大きな力を発揮します。これはインターネットだから出来ることです。もちろん知人やメディアでのクチコミも従来からありますが、情報の集積性と量で圧倒しています。インターネット上のクチコミは、その情報が信頼できるものであるかの判断が必要です。情報の発信に責任を負うテレビなどのメディアでは、こうした情報の信用度を判断するという行為が省略できました。慣れていない人は、そうした習慣のままネットの情報に接してしまい、失敗することがあります。あくまで下調べでのクチコミということを忘れなければ、問題なしです。

ネット上でクチコミ情報を得る方法は色々とありますが、以下に代表的なものを挙げておきます。

・情報サイト
価格.com
AV Watch
Phile-web
ITmedia +D LifeStyle

情報更新/発信の頻度が高いものを挙げています。特に下3つのサイトはRSS登録をして常に最新の情報を入手できるようにします。

・掲示板サイト
AV機器・ホームシアター@2ch掲示板
Phile-webコミュニティ

2chは情報に責任を負う必要がなく、その分普通では知ることができないコアな情報に接する機会があります。Phile-webコミュニティは、エンドユーザーの声が直に聞こえてきます。

・販売店/インストーラー
AV機器ショップ(リアルショップ) | Phile-web

セールス色が強いため参考値にはなりにくいものの、たまに製品の解説をしています。

・個人のブログ
HAL

AV機器専門にやっていて、かつ信ぴょう性のあるプログが一つしか挙げられませんでした。オーディオも含めればもう少しご紹介したいサイトもあります。

・その他
ホームシアターサウンド(日本オーディオ協会)
CEDIA Asia Pacific

正直なにをしてるのか謎の団体なのですが、ご紹介しておきます。



こうしたWebサイト以外に、当然Googleのネット検索を使い、調べたい単語を決め打ちして情報を収集できます。ちなみに日本のYahoo!はまもなく検索アルゴリズムがGoogleに変更されるのと、視野に入る広告面積が大きく、また検索結果の表示が外観的に秀逸ではありません。長時間の検索にはやはりGoogleがお薦めです。


まとめ
ホームシアターのプロジェクターは、やはりデータプロジェクターやディスプレイ製品に比べて高価です。その分、購入には十分な理解と比較が必要です。

オーディオ/ビジュアル機器を選ぶときに大切なのは、自分の目と耳を信じることだと思います。自分の目と耳を信じるということは、それまで自分が歩んできた、体験してきた歴史を信じることでもあると思います。情報に接する量が増えれば増えるほど、自信が崩れそうになりますが(私もそうです)、結局それを買うのは他人の為ではなく自分の為です。自分の目と耳、それから教養と興味、それらが満たされるものを選ぶようにしたいと常々思っています。

まずはご自宅で可能な範囲の調査を行い、自分なりのデータを持って販売店やインストーラーへ行ってみてはいかがでしょうか。この記事が、その一助になれば幸いです。
written by Kyo_Yamada
【記事のTopへ戻る】
posted by HCA at 21:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ホームシアター | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月12日

2010年 国産主力プロジェクターの比較

国産4メーカーのプロジェクター比較
2010年11月現在で発売/発表されているプロジェクターを、国産の主力4社で比較します。

前回の記事では、Victor/JVCのDLA-X7/3についての質問を紹介しました。回答からもJVC製品の優位性が語られていますが、他社との性能差は実際どうなのでしょう。私たち日本のユーザーは、プロジェクターだけでも多くの国産メーカーを選ぶことができます。どの製品を買えば良いか迷いますが、まずは単純な比較から始めてはいかがでしょうか。

今回は国産メーカーから、さらに主力4社に絞った比較をしています。プロジェクターを初めて選ぶ人が、どこを見て比べれば良いのかをできるだけわかり易くまとめました。

プロジェクター主力4社の比較表

※メーカー名をクリックすると製品ページへアクセスできます

JVC DLA-シリーズ
製品名称種別価格タイプコントラスト比輝度
X7 New 新世代¥840,000 反射型液晶 70,000:1 1300lm
X3 New 新世代 オープン価格 反射型液晶 50,000:1 1300lm
HD950 旧世代 ¥528,000 反射型液晶 50,000:1 900lm
HD550 旧世代 ¥318,000 反射型液晶 30,000:1 1000lm
SONY VPL-シリーズ
製品名称種別価格タイプコントラスト比輝度
VW90ES New 新世代 ¥603,999 反射型液晶 150,000:1 1000lm
HW20 New 新世代 ¥248,631 反射型液晶 80,000:1 1300lm
VW85 旧世代 ¥390,000 反射型液晶 120,000:1 800lm
HW15 旧世代 ¥242,300 反射型液晶 60,000:1 1000lm
EPSON EH-シリーズ
製品名称種別価格タイプコントラスト比輝度
TW3600 New 3LCD ¥225,965 透過型液晶 50,000:1 2000lm
TW4500 3LCD ¥272,790 透過型液晶 200,000:1 1600lm
R4000 New Reflective ¥590,520 反射型液晶 1,000,000:1 1200lm
R1000 New Reflective ¥454,170 反射型液晶 500,000:1 1200lm
MITSUBISHI LVP-シリーズ
製品名称種別価格タイプコントラスト比輝度
HC7000 3LCD ¥277,200 透過型液晶 70,000:1 750lm
HC6800 3LCD ¥177,500 透過型液晶 20,000:1 1300lm
HC4000 New DLP ¥186,900 DLP 3,300:1 1200lm
HC3800 DLP ¥148,919 DLP 3,000:1 1200lm

*2010年11月12日筆者作成
*価格.comの最安値を参照(この価格での購入保証をするものではありません)
*表中の値は公式Webサイトより参照

上記の4メーカーの他にも、三洋電機Panasonicシャープの製品も市場にはあるようです。また海外メーカーもありますが、紹介は別の機会にします。今回ご紹介する4社のうち、弊社で取扱のある、お客様へ販売可能なメーカーはJVCのみです。SONY・EPSON・MITSUBISHI社製品については、フェアな製品比較ができず、画質の良し悪しといった「評価」についての言及ができないことをご了承ください。

※以下のインストーラーではJVC社以外の製品も試聴できます。

CAVIN大阪屋(北海道)
アバック(首都圏)
EMC設計(愛知)
ホームシアター工房(大阪)
SOUND TEC(山口)
映音システム(福岡)


4社の概要
以下では、4社の市場内でのポジションを解説します。

JVC DLA-シリーズ
先日発表された新製品X7とX3は共に3D対応。ラインナップは従来より上位・下位の2機種を用意し、モデルチェンジは同じタイミングで行う。価格はミドル〜ハイクラスを維持。高精細な画質を実現できる反射型液晶方式を採用。コントラスト比の仕様表記は、従来より一貫して「ネイティブコントラスト比」を採用(後述)。輝度は前世代の上位機HD950で900lm、HD550は1000lm。海外も含めホームユースではトップレベルであり、「本格的なホームシアターならJVC」という文脈で言われることが多い。

SONY VPL-シリーズ
最新機種のVW90ESは3D対応。ラインナップはJVCと同様に上位・下位2機種を用意してモデルチェンジ。反射型液晶方式を採用し、JVCと共に国内ハイエンド機の双璧であり、その確たる性能をJVCよりやや安価に買える。コントラスト比の仕様表記は、機構的な補正をかけた状態での最大値を採用(後述)。輝度もおおよそJVC製品と同様。間違いなくハイエンド機種で、なおかつJVCより安価に買える可能性が高い。もしあなたがJVCとSONYの最高機を並べてみてようやく微小な違いがわかる、というなら、SONY製品でも十分幸せになれるし、映画も最高に綺麗に観られる。

EPSON EH-シリーズ
9月に反射型液晶方式の2モデルを発表。従来の透過型液晶方式「TW」に加え「R」をラインナップし、JVC・SONYに加えて反射型液晶プロジェクターのメーカーとなった。これまでは透過型液晶方式でコストを抑えた製品が中心であった。コントラスト比は機構的な補正ありでの最大値。これまで一貫して液晶デバイスを自社製造して透過型液晶方式を採用していたが、その構造上、精細感・コントラストに限界があったのかもしれない。それでも技術の向上により、従来に比べ高コントラスト・高輝度で低価格を実現し、プロジェクター市場に大変な貢献をした。

MITSUBISHI LVP-シリーズ
8月にDLP方式のHC4000を発売。このDLP方式と透過型液晶方式の2ラインナップ。価格は総じてリーズナブルで、映画を大きい画面に映す楽しみを手軽に実現できる。DLP方式で3000:1のネイティブコントラスト比を実現。輝度はHC7000がやや暗いが、他は1000lmを超えている。新製品のHC4000は80インチのスクリーンに2.4mの距離から投写できる。日本の住環境からも、こうした短距離で投写可能な機種は貴重。またDLP方式も今後さらに性能がよくなる可能性がある。

用語の解説
次に各社の製品を見比べながら、用語を解説したいと思います。
製品を見比べる時には、用語をきちんとわかっていることが大切です。以下であげた用語は、最低限理解しておくべきです。実際に仕様を読めるようになれば、さらにその製品への理解が深まります。

・反射型液晶方式と透過型液晶方式
製品名称メーカー価格タイプコントラスト比輝度
X7 New JVC¥840,000 反射型液晶 70,000:1 1300lm
VW90ES New SONY ¥603,999 反射型液晶 150,000:1 1000lm
TW3600 New EPSON ¥225,965 透過型液晶 50,000:1 2000lm
HC7000 MITSUBISHI ¥277,200 透過型液晶 70,000:1 750lm
覚えておくべきは、「反射型 > 透過型」という図式です。精細感・コントラスト比・価格において、反射型が透過型を上回ります。また従来から「反射型=JVC・SONY」「透過型=EPSON・MITSUBISHI」というすみ分けがあり、「EPSONが反射型に参入した」ことが話題になったのには、そういった背景があるからです。この二つの方式に、DLP方式が加わります。


・価格ゾーン
製品名称メーカー価格タイプコントラスト比輝度
X7 New JVC ¥840,000 反射型液晶 70,000:1 1300lm
VW90ES New SONY ¥603,999 反射型液晶 150,000:1 1000lm
TW3600 New EPSON ¥225,965 透過型液晶 50,000:1 2000lm
HC4000 New MITSUBISHI ¥186,900 DLP 3,300:1 1200lm
こちらは用語というわけではありませんが、プロジェクターを選ぶ時に役立つ知識です。業務用プロジェクターや4Kプロジェクターを除外したホームユース製品では、ざっくりと上記表のようにみることができます。価格がさらに安価な、10万円を切るプロジェクターは一般的に「データプロジェクター」とカテゴリされる場合が多く、ホームシネマ用ではありません。また予算面でお悩みであれば、「どこにお金がかかっているのか?」と考えるようにすべきで、余計な機能やオーバースペックな機器に手をだすことを防げます。


・コントラスト比
製品名称メーカー価格タイプコントラスト比輝度
X3 New JVC オープン価格 反射型液晶 50,000:1 1300lm
HW20 New SONY ¥248,631 反射型液晶 80,000:1 1300lm
R1000 New EPSON ¥454,170 反射型液晶 500,000:1 1200lm
HC7000 MITSUBISHI ¥277,200 透過型液晶 70,000:1 750lm
コントラスト比はプロジェクターの性能をみる上で特に重要ですので、少し詳しく説明します。「コントラスト」とは、明るい部分と暗い部分の差です。製品の表にある「コントラスト比」とは、一番明るいところから一番暗いところまで、何段階で投写することができるかを表しています。この段階が多いほうが性能が良いことは、おわかりだと思います。


sample-12.gifsample-x.gif


左の画像は、明暗を12段階に調整しています。従って、白と黒の間には、グレーが10段階あります。右の画像は、データを調整していませんから、お客様が使っているディスプレイの性能の範囲で、グラデーションが表示されているはずです。単純に言うと、これが映像機器の性能の差です。お客様がお使いの機器によって、見え方が変わってきます。プロジェクターにも同様のことが言えます。ですから、よりなめらかにグラデーションを見えるようにするには、コントラスト比が高いディスプレイ/プロジェクターを買おうということになります。

ではコントラスト比の仕様を見ようということになりますが、厄介なことに各メーカーでコントラスト比の表記方法が統一されていません。例えばJVCは「ネイティブコントラスト」、SONYは「ダイナミックコントラスト」をそれぞれ表記しています。ネイティブコントラストとは、簡単に言うと「一度に映像機器が表現できる能力」を測っています。ダイナミックコントラストは、アイリスという機構を使って有利に暗くしたところと、有利に明るくしたところを測って、その幅を表記しています。そのため、一概にコントラスト比の数字が大きいものを買えば良いということではありません。

弊社はJVC製品しか売っていないので、「実はネイティブコントラストが重要なんですよ」と言うとフェアじゃないのですが、実際にオーディオ・ビジュアル評論家の麻倉怜士さんも著書の中で以下のように言っています。


 ここで注意すべきは、カタログに記載されているコントラスト比は必ずしも当てにならないということです。
 コントラスト比にはさまざまな測定方法があり、メーカーごとに考え方が異なります。例えばビクターのLCoS方式のプロジェクターでは、アイリス(絞り)を固定した状態で、同一画面上のもっとも明るい箇所と暗い箇所を比べた数値をカタログに記載しています。私に言わせれば、一番正直かつまっとうな手法で測定している。このように、素の実力が分かるコントラスト比のことを「ネイティブコントラスト」と言います。

『◎作法二十四 ーカタログに記載されたコントラスト比は信用しない』より
「ホームシアターの作法 」(ソフトバンク新書)


・輝度
製品名称メーカー価格タイプコントラスト比輝度
X7 New JVC¥840,000 反射型液晶 70,000:1 1300lm
VW90ES New SONY ¥603,999 反射型液晶 150,000:1 1000lm
TW3600 New EPSON ¥225,965 透過型液晶 50,000:1 2000lm
HC7000 MITSUBISHI ¥277,200 透過型液晶 70,000:1 750lm
輝度は明るさのことです。この数字が大きいほど、画面が明るく映ります。単位は「lm=ルーメン」が使われます。お客様がプロジェクターを選ぶ時に気をつけるべきは、プロジェクターを設置する環境です。リビングなど、外部の光が侵入しやすい場所では、輝度の高い製品を選ぶべきでしょう。当たり前ですが、周りが明るいと、それを上回る明るさで画面を映す必要があります。また3Dでは専用のメガネをかけるため、より画面の明るさが求められます。明るさはプロジェクターに搭載されたランプの性能ですから、コストになります。ですから、特に周りが明るくないのであれば、輝度が高い製品より、コントラスト比などにコスト配分された機器を買うのが賢い選択と言えます。

まとめ
プロジェクターを選ぶときに見なければならない、基本的な項目を見てきました。プロジェクターに限らずなんでもそうですが、数字で全ては判断できません・・と、よく言われますが、逆に数字でしか判断できないこともあります。例えばコントラスト比は映像を見ただけでは絶対にわかりませんよね。こうした仕様は、数字で事前に確認し、そのデータを踏まえて実際に試聴して確認するのがベストです。日本には幸いにも優れたメーカーが多数あります。製品の性能とコスト配分をよく観察し、実際にお店でご覧になられて決めるのが良いでしょう。

実際に製品を試聴するときに、どういったところを見れば良いか?次回はもう少しソフト面、例えば映像の調整機能や色の出具合の差などを紹介したいと思います。数字だけの単純な比較ではわからない、ソフト面でのコスト配分というのが見えてくるのではないでしょうか。

written by Kyo_Yamada
【記事のTopへ戻る】
posted by HCA at 15:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ホームシアター | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。