2010年12月25日

サブウーファーの解説part.1 | サブウーファーの基本知識

第一回 | サブウーファーの基本知識


woofer.jpg

ホームシアターの音響で、特に重要な「サブウーファー」について解説します。
第一回目は「サブウーファーについての基本知識」です。なぜサブウーファーが必要なのか、そもそも"ウーファー"とは何か、それらを知るためには、オーディオの基本を学ぶ必要があります。オーディオ→ホームシアターという流れを経験していない方のために、入門編としてわかりやすく解説します。

全4回連載で、次回は実際に販売されている製品のまとめを予定しています。


1.オーディオの基本

冒頭でも述べた通り、優れた音響のホームシアターを実現するためには、オーディオを含めた音響理論を理解しておくべきです。
世間でオーディオが廃れてから数年が経っていますから、比較的若い世代の人たちがオーディオのことを知らないのも無理のないことです。例えば、「ウーファー」と「スピーカー」をほぼ同義の単語として運用している人も多くいます。というより、わたしの年代では既に「オーディオ」という単語が死語、というか通じません。余談ですが、仕事の説明をするときに「オーディオとかやってるよ」と言っても理解されないので、「スピーカーとかそういうの」と最近では言ったりします。

以下ではオーディオの基本を簡単に説明します。
かなり初歩的な部分ですから、「オーディオ」と「スピーカー」の区別ができる方は読み飛ばしても問題ありません。


a. スピーカーから音が再生される仕組み
オーディオ再生の基本的な構成は、「プレイヤー」「アンプ」「スピーカー」の3つです。まず、プレイヤーは音源(ソース)を電気信号に変えてくれます。その信号は小さいので、アンプという機械で大きくしてあげます。信号が十分な大きさになったところで、スピーカーへ送ります。すると、スピーカーのユニットが揺れて音が出てきます。ホームシアターの接続でよくつまずく原因が、こうしたオーディオの仕組みの理解不足です。電気信号などと言うと取っ付きにくいのですが、車に喩えて「プレイヤー=アクセルペダル」「アンプ=エンジン」「スピーカー=タイヤ」ぐらいに覚えておくと良いかもしれません。最近ではこれが全部一緒になって、電話やゲームができるものもあります。

audio-sys.png


b. サブウーファーとウーファーの違い
「ウーファー」とは、"スピーカーを構成する「ユニット」の名前(種類)”です。ユニットとはスピーカーについている丸いやつですね。これにも種類があって、大きく高・中・低音用に、それぞれ「ツィーター」「スコーカー」「ウーファー」と言います。このユニットを集めて箱にとりつけて一体化させたものが、「スピーカー(システム)」です。なので、低音用ユニットの呼称である「ウーファー」と、低音用スピーカーの「サブウーファー」は別物であるということがわかると思います。通常のスピーカーの低音を補助するために、助っ人的にいるので「サブ」なんですね。

speaker-sys.png


c. 5.1chとかサラウンドって?
ホームシアターの普及にともない、「サラウンド」という言葉が一般にも広まりました。「サブウーファー」もこの時に一緒に広まっていくのですが、それはなぜかと言うと、よく使われるサラウンドシステムの中に、「サブウーファーをいれましょう」という決まりがあったからです。当初はサラウンドといえば5.1chが主流だったので、「サラウンド = 5.1ch」という認識が強いのですが、「5.1ch」と「サラウンド」を混同してはいけません。
よく耳にする「5.1ch」は、「5つのスピーカーと1つのサブウーファー」という意味です。スピーカーが7つなら「7.1ch」ですし、例えばスクリーンの横にスピーカーを2つ置いて、低音用にサブウーファーというシステムでは、「2.1ch」と表記します。これは厳密には「サラウンド(英surround = 取り囲む)」ではありませんが、後ろの方へ音を回りこませる技術を採用しているメーカーも中にはあります。

surround-5.1ch.png



ホームシアターもオーディオも物理的な空気の運動を電気信号に変えて、また戻すという作業をしています。これが電気音響の基礎です。なぜブルーレイプレイヤーやアンプ、スピーカーが必要なのか。こうした原理を理解しておくと、これからのホームシアター生活が幸せになります(経験者談)。
以下に、そうした電気音響の基礎的な部分がよくわかる文章を引用しておきます。



"音の利用がさかんになった原因は、音を電気の形に変え、それを別な所に再生することができるようになったことであろう。簡単にいえば音が電気と結びついたからである。"

"音を電気の形に変え、またもとの音にもどす装置をはじめて考えたのはベル(Alexander Graham Bell, 1876)であって、これが電話のはじめであり、また電気補聴器の元祖でもある。"
出典:「電気音響振動学」西巻正郎 1960



2.サブウーファーとは?

映画の鑑賞が、映画館から家庭内へともちこまれ、普通の音楽なら必要なかったような重低音が求められるようになりました。
ホームシアターが始まる前から、オーディオマニア向けに低音専用のスピーカーは存在していました。それは以下でも説明するように、映画音響の再生が目的ではありません。最近ではサブウーファーというと、ホームシアターシステムの低音増強を目的としたものが一般的です。たまに「スーパーウーファー」と言われることがありますが、元はYAMAHAの商品名だったそうで、日本独特の言い方です。「サブウーファー」と意味の違いはありません。

では実際のサブウーファーの役割などを説明します。


a. 低音の効果
上でも触れたように、ホームシアター以前でもサブウーファーは存在していました。では、なぜ低音の補強が必要だったのでしょうか。ひとつには、パイプオルガンのように非常に低い音を奏でる楽器を再生する場合。もうひとつは、例えばクラシックのコンサートを再生するとき、楽器から出る低音だけを再生するなら、大した低音は必要ありませんが、そこへ非常に低い音を含めることで、間違いなく振動しているであろう、会場をいっぱいに満たす空気の気配を再現することができます。こうした理由から、ホームシアター以前の純粋なオーディオ用にも、サブウーファーは存在していました。もちろん、こうした距離感や気配を再現するメリットは、ホームシアターにも当てはまります。

low-sound.png


b. 低音だけ独立させた理由
1つのスピーカーで全部やるより、役割を分けてまおうというのが、サブウーファーのそもそもの発想です。高い音は小さなスピーカーユニットでも再生が可能ですが、低い音を再生するには、実は大きなスピーカーユニットが必要です。しかし一般的な商品としては、設計・コスト的にも、搭載するユニットの性能に限界があります。そこで、通常使用のスピーカーで再生可能な低音を超えた部分は、サブウーファーに任せようというわけです。通常のスピーカーからも低音は出ているので、それを「サブ」として補助してやるのが、サブウーファーの役割です。また低音の担当を専用に独立させることで、低音再生に余裕をもたせることができます。

hojo.png


c. サブウーファーの注意点
サブウーファーを設置するメリットは低音の増強ですが、注意点は何があるでしょうか。まずは騒音問題が挙げられると思います。遮音が十分でない住居では、低音のボリュームコントロールが大切です。実はこの「低音のコントロール」が一番難しいところです。騒音問題の解決が目的であれば、サブウーファーを切ってしまえば良いのですが、問題は低音をおもいっきり出す時です。正直まともにこの低音のコントロールができる人は、われわれ専門業者でも少ないと思います。少し専門的ですが、低音というのはその物理特性上、ほかの周波数帯の音波とはとりあつかいが異なってきます。ちょっと音響のことを知っている人であれば、位相の問題、マスキング効果、定在波など、低音がだせるほど、気を使うことが多くなることは、容易に想像できるでしょう。
設置ができても調整ができない専門業者もいるぐらいですから、通販でシステムを揃えようとお考えの方は十分に気をつけて欲しいところです。商品を買ってきて接続するぐらいなら誰でもできるので(最近では自動音場補正もある)、逆にそれだけのために専門業者に高いお金を払うことはありません。



3.サブウーファーの種類

AV機器ではサブウーファーのことを「SW」と表記するのが一般的です。「Sub Woofer」の略ですね。またサブウーファーには「アクティブ型」「パワード型」「パッシブ型」など、様々な仕様があります。次回は各メーカーの商品を紹介する予定ですので、その前に少し専門知識を頭にいれておきましょう。

sw.jpg



a. アンプ内蔵のサブウーファー
「アクティブ型」「パワード型」と言われるサブウーファーがあります。それぞれ「英active = 活動的な」「英powered = 動力付きの」と言う意味から、アンプが内蔵されたサブウーファーです。「パッシブ型」は「英passive = 受身の」で、アンプは内蔵されず、要するに普通のスピーカーと同じです。不思議に思われるのは、"なぜアンプを入れるの?”という点だと思います。最初にお話ししたように、低音を出すには大きなユニットでたくさんの空気を押し出す必要があります。当然空気の抵抗が大きいので、大きなパワーがいります(車のエンジンでいう馬力)。そこで、普通のアンプでパワー不足にならないよう、特別に出力の大きいアンプを専用に持っているのが、このアンプ内蔵型です。スピーカーとアンプが一緒になっているので、あとは信号があれば良いということになります。

b. 低音をうまく再生する工夫
市販されているサブウーファーには、大きく2つの箱(エンクロージャー)の種類があります。まず「密閉型」です。これはユニットの背面を完全に密閉し、後ろから音が漏れないようにしています。実はユニットの正面から音が放射されるのと同じように、後ろからも音が出ています。しかしこの音は音質的に良くない成分があるため、閉じ込めてしまおうという発想です。これと逆の発想をしているのが「バスレフ型」で、せっかく出ている背面の音を使ってやろうという仕組みです。箱の中から音が表へ出てくる過程で、「バスレフポート」という音の通り道を用意し、そこで音を共鳴させて低音を増幅させています。大きなユニットが原理的に必要なサブウーファーも、これにより驚くほど豊かな低音を、比較的小さなユニットで再生することが可能になります。こうした仕組みにより簡単に低音が再生できるため、サブウーファーでは「バスレフ型」が多いようです。

bd1-hp.png
密閉型サブウーファーのB&W DB-1


c. サブウーファーの設置場所
スピーカーには、音が聴こえる(聴こえやすい)範囲があります。これを「指向性」と言います。一般的な常識として、低域の音は無視できる程度の指向性だと言われます。つまり、スピーカーのどの方向から音を聴いてもほとんど一緒だと言うことです。ですから、サブウーファーは部屋の隅に置いたりと、他のスピーカーのように厳密に聴こえやすい位置を決める必要がありません。ただし、低音は周囲のものを振動させますから、例えば棚の上やラックの中に無造作に置くことはできません。音も広がりやすく、壁の近くに設置すると音の反射が大きくなります。また床に直接置くと階下への騒音の原因にもなるため、適切な設置方法が求められます。
と、これがあくまで一般的な常識として知られていることです。しかし弊社としては、低音の指向性は厳密にはありますし、これを無視したホームシアターはありえないと考えています。これについては、次回以降で詳しくお話しいたします。


まとめ


サブウーファーについて全く知らなかった人も、これだけ知ってれば大丈夫!

  • ・「サブウーファー」とは低音専用のスピーカー
  • ・低音を出すには大きなユニットが必要
  • ・普通のスピーカーでは足りない低音を補助できる
  • ・「サブウーファー」があると迫力がでるけど、なくてもよい
  • ・「5.1ch」はサラウンドの決まりごとのひとつ
  • ・「5.1ch」の「0.1」はサブウーファーのこと
  • ・低音には空間の大きさを再現する効果もある
  • ・低音専用のアンプが内蔵されたタイプがある
  • ・低音はむしろ出せるほうがやっかいである


今回は入門編を意識した内容にしました。次回は、国内/海外の製品をとりあげて具体的に見ていきたいと思います。さらに回を重ねるごとに詳しい解説をしていきたいと考えています。

これらの記事が、製品選びの参考になれば幸いです。

written by Kyo_Yamada
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posted by HCA at 17:45 | Comment(10) | TrackBack(0) | ホームシアター | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
感謝感激。
スピーカーの翻訳をしていて、原文がオタクっぽく意味がチンプンカンプンだったので、このページの説明は素人にも分かりやく、ホントに助かった。
音→電気信号→音という変貌の過程で、サウンドの一般の技術的な説明は、電気信号→音の忠実な再生に重点が置かれているような印象をうけます。
最初の段階の原音→電気信号のプロセスに問題がないのですか?

音響オンチより
Posted by 岩津藻賀奈 at 2011年07月19日 21:40
音響オンチさんへ
ホームシネマアンドオーディオの山田です。
「最初の段階の原音→電気信号のプロセス」で問題はあります。特にCDなどデジタルオーディオには原理的に大きな問題が存在します。音源(音楽など)をマイクで録音する際、それをデジタルに変換するプロセスである種の雑音が原理的に発生します。それを除去するために電気的なフィルタがほとんどの録音機のアナログ・デジタルコンバータ回路の入り口に挿入されています。このフィルタの影響で音源の高域周波数の成分が高い方へいくほど、時間的遅れを生じます。音楽でいえば倍音成分が基音に対して遅れを生じます。つまり、この電気的フィルタによって理論的に原音録音再生はできないということです。私たちはそのズレの範囲がどこまで許容できるかを見極めることが大切でしょう。
Posted by HCA at 2011年07月26日 18:45
>通常のスピーカーの低音を補助するために、助っ人的にいるので「サブ」なんですね。
>通常のスピーカーからも低音は出ているので、それを「サブ」として補助してやるのが、サブウーファーの役割です。


2箇所も書いて、コリャ酷い。最初読んだ時はお遊びの駄洒落かと思ったが、二度読み返してそうではなさそうなのでコメントを置いてゆく。レスポンスは期待していないし再訪もしない。

サブは接頭辞であるが二つ意味があり、サブウーファのサブは「副; 亜;」ではなく「下; 下位」のほう。
ウーファの下を担うからサブウーファ。

ツィータを補助するからって「サブツィータ」とは言わんでしょ。そいつはスーパーツィータ。ツィータの「上」を担うから「スーパー」なわけ。

下を担うからサブウーファなんであって、福ウーファでも補ウーファでもない。

例えば、潜水艦はサブマリン。マリンのサブ、要するに「海の下」。

英和辞典を今一度引いたほうがいい。「助っ人」とは恐れ入った。
Posted by 通りすがり at 2012年12月23日 05:54
「通りすがり」さん、それは屁理屈、こじつけ、あげ足取りでしょ、オーディオを全く知らない初心者向けに書いてある文章だと判りませんか?
Posted by 名無し at 2013年03月07日 11:46
通りすがり氏>
自分を含む大多数の人間には、ニュアンスが伝わればそれでいい。
玄人顔して重箱の角突きはハッキリ言って「キモい」の一言に尽きる。
Posted by オーディオ初心者 at 2013年05月01日 18:07
ネットサーフィンよりこのページを拝見させて頂きました。
とても参考になりました!
こういった知識を全く知らなかったのですが、とても分かりやすくまとまっていて理解できました。
もっと広い世代に普及するためにネットワークで公開するというのは素晴らしい事だと思います!
今後も新しい見解やシステムなどが発表されたらまた情報の提供をお願いします!
Posted by めし at 2013年11月25日 17:05
サブウーファーを調べていてこちらにたどり着きました。
とても分かり易く参考になりました。
私もオーディオ初心者ですが、オーディオのブログなんか見ると上級者にとっては当たり前でスルーされる事でも、初心者にとってちんぷんかんぷんな事って意外に多いです。
オーディオの基本をまとめて説明してくれる所って意外に貴重ですよね。
Posted by たこ焼き大好き at 2014年02月10日 21:35
二年ばかり前の通りすがりの人が正しいことを言って「揚げ足取りキモ」呼ばわりされてるのは、理屈が正しいからでなくその言動がおかしい人だからだと思いたい今日この頃です。
ここから下は落書き程度におよみください。

もともと英語は「上」「下」をはっきりつけたがるものらしく、日本語では「紫外線」「赤外線」も、いちいち「UV(ウルトラバイオレット)」「IR(インフラレッド)」と区別していますね。
聞こえないくらい高い音「超音波」は「ウルトラソニック」。
では、聞こえないくらい低い音は?
日本語には該当する言葉がないので、「低周波振動」とか言ったりしますが、英語では「サブソニック」ですね。
ただ、「ソニック」には「音波」「音速」の両方の意味があって、「スーパーソニック」「ハイパーソニック」は「超音速」です。
「サブソニック」は「亜音速(旅客機とかの速度)」の意味が強い言葉なので、「subsonic(infrasound)」という書かれかたが多いようです。
で。
ツイーターの高音側は「スーパーツイーター」なので、
「サブウーファー」の「サブ」はやはり「下の」の意味の方が強いのではないかと私も思うのです。

Posted by 通りすがり二号 at 2014年11月24日 11:28
とまれ、全く素人の私にはサブウーハーが果たす役割がよくわかる説明でした。

ついでに英語の勉強もさせてもらいましたが、正確な事でも言い方次第で、その値も半減しますね
Posted by ど素人おばさん at 2016年12月16日 16:27
その後、少し考えてみました。

やはりサブウーハの役割から判断すると、この場合は英語の<下>という意味より、<副>の意味合いが勝ってるのではないでしょうか?

つまりサブウーハーは付けても付けなくてもかなりいい音が聴けるらしいですし、もっといい音を再生するために補足するわけですから

英語の本来の意味では下かもしれませんが、機能的には副だと思います

このブログを書かれた方は、英語の専門家ではなく、音響機器の専門家で、長い間、<感覚的に>機器の立場を熟知しておられるのだと思います
Posted by 英文科卒の先ほどのど素人おばさん at 2016年12月16日 18:33
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