2010年12月25日

サブウーファーの解説part.1 | サブウーファーの基本知識

第一回 | サブウーファーの基本知識


woofer.jpg

ホームシアターの音響で、特に重要な「サブウーファー」について解説します。
第一回目は「サブウーファーについての基本知識」です。なぜサブウーファーが必要なのか、そもそも"ウーファー"とは何か、それらを知るためには、オーディオの基本を学ぶ必要があります。オーディオ→ホームシアターという流れを経験していない方のために、入門編としてわかりやすく解説します。

全4回連載で、次回は実際に販売されている製品のまとめを予定しています。


1.オーディオの基本

冒頭でも述べた通り、優れた音響のホームシアターを実現するためには、オーディオを含めた音響理論を理解しておくべきです。
世間でオーディオが廃れてから数年が経っていますから、比較的若い世代の人たちがオーディオのことを知らないのも無理のないことです。例えば、「ウーファー」と「スピーカー」をほぼ同義の単語として運用している人も多くいます。というより、わたしの年代では既に「オーディオ」という単語が死語、というか通じません。余談ですが、仕事の説明をするときに「オーディオとかやってるよ」と言っても理解されないので、「スピーカーとかそういうの」と最近では言ったりします。

以下ではオーディオの基本を簡単に説明します。
かなり初歩的な部分ですから、「オーディオ」と「スピーカー」の区別ができる方は読み飛ばしても問題ありません。


a. スピーカーから音が再生される仕組み
オーディオ再生の基本的な構成は、「プレイヤー」「アンプ」「スピーカー」の3つです。まず、プレイヤーは音源(ソース)を電気信号に変えてくれます。その信号は小さいので、アンプという機械で大きくしてあげます。信号が十分な大きさになったところで、スピーカーへ送ります。すると、スピーカーのユニットが揺れて音が出てきます。ホームシアターの接続でよくつまずく原因が、こうしたオーディオの仕組みの理解不足です。電気信号などと言うと取っ付きにくいのですが、車に喩えて「プレイヤー=アクセルペダル」「アンプ=エンジン」「スピーカー=タイヤ」ぐらいに覚えておくと良いかもしれません。最近ではこれが全部一緒になって、電話やゲームができるものもあります。

audio-sys.png


b. サブウーファーとウーファーの違い
「ウーファー」とは、"スピーカーを構成する「ユニット」の名前(種類)”です。ユニットとはスピーカーについている丸いやつですね。これにも種類があって、大きく高・中・低音用に、それぞれ「ツィーター」「スコーカー」「ウーファー」と言います。このユニットを集めて箱にとりつけて一体化させたものが、「スピーカー(システム)」です。なので、低音用ユニットの呼称である「ウーファー」と、低音用スピーカーの「サブウーファー」は別物であるということがわかると思います。通常のスピーカーの低音を補助するために、助っ人的にいるので「サブ」なんですね。

speaker-sys.png


c. 5.1chとかサラウンドって?
ホームシアターの普及にともない、「サラウンド」という言葉が一般にも広まりました。「サブウーファー」もこの時に一緒に広まっていくのですが、それはなぜかと言うと、よく使われるサラウンドシステムの中に、「サブウーファーをいれましょう」という決まりがあったからです。当初はサラウンドといえば5.1chが主流だったので、「サラウンド = 5.1ch」という認識が強いのですが、「5.1ch」と「サラウンド」を混同してはいけません。
よく耳にする「5.1ch」は、「5つのスピーカーと1つのサブウーファー」という意味です。スピーカーが7つなら「7.1ch」ですし、例えばスクリーンの横にスピーカーを2つ置いて、低音用にサブウーファーというシステムでは、「2.1ch」と表記します。これは厳密には「サラウンド(英surround = 取り囲む)」ではありませんが、後ろの方へ音を回りこませる技術を採用しているメーカーも中にはあります。

surround-5.1ch.png



ホームシアターもオーディオも物理的な空気の運動を電気信号に変えて、また戻すという作業をしています。これが電気音響の基礎です。なぜブルーレイプレイヤーやアンプ、スピーカーが必要なのか。こうした原理を理解しておくと、これからのホームシアター生活が幸せになります(経験者談)。
以下に、そうした電気音響の基礎的な部分がよくわかる文章を引用しておきます。



"音の利用がさかんになった原因は、音を電気の形に変え、それを別な所に再生することができるようになったことであろう。簡単にいえば音が電気と結びついたからである。"

"音を電気の形に変え、またもとの音にもどす装置をはじめて考えたのはベル(Alexander Graham Bell, 1876)であって、これが電話のはじめであり、また電気補聴器の元祖でもある。"
出典:「電気音響振動学」西巻正郎 1960



2.サブウーファーとは?

映画の鑑賞が、映画館から家庭内へともちこまれ、普通の音楽なら必要なかったような重低音が求められるようになりました。
ホームシアターが始まる前から、オーディオマニア向けに低音専用のスピーカーは存在していました。それは以下でも説明するように、映画音響の再生が目的ではありません。最近ではサブウーファーというと、ホームシアターシステムの低音増強を目的としたものが一般的です。たまに「スーパーウーファー」と言われることがありますが、元はYAMAHAの商品名だったそうで、日本独特の言い方です。「サブウーファー」と意味の違いはありません。

では実際のサブウーファーの役割などを説明します。


a. 低音の効果
上でも触れたように、ホームシアター以前でもサブウーファーは存在していました。では、なぜ低音の補強が必要だったのでしょうか。ひとつには、パイプオルガンのように非常に低い音を奏でる楽器を再生する場合。もうひとつは、例えばクラシックのコンサートを再生するとき、楽器から出る低音だけを再生するなら、大した低音は必要ありませんが、そこへ非常に低い音を含めることで、間違いなく振動しているであろう、会場をいっぱいに満たす空気の気配を再現することができます。こうした理由から、ホームシアター以前の純粋なオーディオ用にも、サブウーファーは存在していました。もちろん、こうした距離感や気配を再現するメリットは、ホームシアターにも当てはまります。

low-sound.png


b. 低音だけ独立させた理由
1つのスピーカーで全部やるより、役割を分けてまおうというのが、サブウーファーのそもそもの発想です。高い音は小さなスピーカーユニットでも再生が可能ですが、低い音を再生するには、実は大きなスピーカーユニットが必要です。しかし一般的な商品としては、設計・コスト的にも、搭載するユニットの性能に限界があります。そこで、通常使用のスピーカーで再生可能な低音を超えた部分は、サブウーファーに任せようというわけです。通常のスピーカーからも低音は出ているので、それを「サブ」として補助してやるのが、サブウーファーの役割です。また低音の担当を専用に独立させることで、低音再生に余裕をもたせることができます。

hojo.png


c. サブウーファーの注意点
サブウーファーを設置するメリットは低音の増強ですが、注意点は何があるでしょうか。まずは騒音問題が挙げられると思います。遮音が十分でない住居では、低音のボリュームコントロールが大切です。実はこの「低音のコントロール」が一番難しいところです。騒音問題の解決が目的であれば、サブウーファーを切ってしまえば良いのですが、問題は低音をおもいっきり出す時です。正直まともにこの低音のコントロールができる人は、われわれ専門業者でも少ないと思います。少し専門的ですが、低音というのはその物理特性上、ほかの周波数帯の音波とはとりあつかいが異なってきます。ちょっと音響のことを知っている人であれば、位相の問題、マスキング効果、定在波など、低音がだせるほど、気を使うことが多くなることは、容易に想像できるでしょう。
設置ができても調整ができない専門業者もいるぐらいですから、通販でシステムを揃えようとお考えの方は十分に気をつけて欲しいところです。商品を買ってきて接続するぐらいなら誰でもできるので(最近では自動音場補正もある)、逆にそれだけのために専門業者に高いお金を払うことはありません。



3.サブウーファーの種類

AV機器ではサブウーファーのことを「SW」と表記するのが一般的です。「Sub Woofer」の略ですね。またサブウーファーには「アクティブ型」「パワード型」「パッシブ型」など、様々な仕様があります。次回は各メーカーの商品を紹介する予定ですので、その前に少し専門知識を頭にいれておきましょう。

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a. アンプ内蔵のサブウーファー
「アクティブ型」「パワード型」と言われるサブウーファーがあります。それぞれ「英active = 活動的な」「英powered = 動力付きの」と言う意味から、アンプが内蔵されたサブウーファーです。「パッシブ型」は「英passive = 受身の」で、アンプは内蔵されず、要するに普通のスピーカーと同じです。不思議に思われるのは、"なぜアンプを入れるの?”という点だと思います。最初にお話ししたように、低音を出すには大きなユニットでたくさんの空気を押し出す必要があります。当然空気の抵抗が大きいので、大きなパワーがいります(車のエンジンでいう馬力)。そこで、普通のアンプでパワー不足にならないよう、特別に出力の大きいアンプを専用に持っているのが、このアンプ内蔵型です。スピーカーとアンプが一緒になっているので、あとは信号があれば良いということになります。

b. 低音をうまく再生する工夫
市販されているサブウーファーには、大きく2つの箱(エンクロージャー)の種類があります。まず「密閉型」です。これはユニットの背面を完全に密閉し、後ろから音が漏れないようにしています。実はユニットの正面から音が放射されるのと同じように、後ろからも音が出ています。しかしこの音は音質的に良くない成分があるため、閉じ込めてしまおうという発想です。これと逆の発想をしているのが「バスレフ型」で、せっかく出ている背面の音を使ってやろうという仕組みです。箱の中から音が表へ出てくる過程で、「バスレフポート」という音の通り道を用意し、そこで音を共鳴させて低音を増幅させています。大きなユニットが原理的に必要なサブウーファーも、これにより驚くほど豊かな低音を、比較的小さなユニットで再生することが可能になります。こうした仕組みにより簡単に低音が再生できるため、サブウーファーでは「バスレフ型」が多いようです。

bd1-hp.png
密閉型サブウーファーのB&W DB-1


c. サブウーファーの設置場所
スピーカーには、音が聴こえる(聴こえやすい)範囲があります。これを「指向性」と言います。一般的な常識として、低域の音は無視できる程度の指向性だと言われます。つまり、スピーカーのどの方向から音を聴いてもほとんど一緒だと言うことです。ですから、サブウーファーは部屋の隅に置いたりと、他のスピーカーのように厳密に聴こえやすい位置を決める必要がありません。ただし、低音は周囲のものを振動させますから、例えば棚の上やラックの中に無造作に置くことはできません。音も広がりやすく、壁の近くに設置すると音の反射が大きくなります。また床に直接置くと階下への騒音の原因にもなるため、適切な設置方法が求められます。
と、これがあくまで一般的な常識として知られていることです。しかし弊社としては、低音の指向性は厳密にはありますし、これを無視したホームシアターはありえないと考えています。これについては、次回以降で詳しくお話しいたします。


まとめ


サブウーファーについて全く知らなかった人も、これだけ知ってれば大丈夫!

  • ・「サブウーファー」とは低音専用のスピーカー
  • ・低音を出すには大きなユニットが必要
  • ・普通のスピーカーでは足りない低音を補助できる
  • ・「サブウーファー」があると迫力がでるけど、なくてもよい
  • ・「5.1ch」はサラウンドの決まりごとのひとつ
  • ・「5.1ch」の「0.1」はサブウーファーのこと
  • ・低音には空間の大きさを再現する効果もある
  • ・低音専用のアンプが内蔵されたタイプがある
  • ・低音はむしろ出せるほうがやっかいである


今回は入門編を意識した内容にしました。次回は、国内/海外の製品をとりあげて具体的に見ていきたいと思います。さらに回を重ねるごとに詳しい解説をしていきたいと考えています。

これらの記事が、製品選びの参考になれば幸いです。

written by Kyo_Yamada
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2010年12月09日

【翻訳記事】ワイヤレスサラウンドへの助言

Help with Wireless Surround Speakers
米国[ELECTRONIC HOUSE]の記事を紹介します。

SC-help-wireless.png

ELECTRONIC HOUSE: Help with Wireless Surround Speakers
[By Grant Clauser]


海外のサイトで、「リアスピーカーを設置したいが、壁がない」というユーザーの相談が掲載されていました。ワイヤレスのサラウンドスピーカーを利用して解決するつもりだと相談するのですが、アドバイザーが冷静にワイヤレスの実現性や、質問者の要求とのギャップを指摘していて、面白いです。

以下は原文の後半を意訳したものです。(見出しは訳者による)




Ask a pro|インストールのプロに質問


質問:うしろに壁がないのですが・・・
現在、DENON AVR-2310CIを使って5.1chを設置しています。そこへ新たに2つのサラウンドスピーカーを追加して、7.1chにしたいです。問題は、リアの場所がオープンキッチンのため、スピーカーのケーブルを壁の内側のように這わせる場所がないことです。このレシーバーに接続できる、なにか良いワイヤレスサラウンドスピーカーを提案頂けないでしょうか?


Electronic Houseの回答:

もしあなたが完全にワイヤーのないソリューションを探しているなら、それに対する回答は「ノー」です。なぜなら、すべてのワイヤレススピーカーは、依然として「電源」が必要だからです。ここで言う「電源」とは、ほとんどの場合がAC電源プラグの接続のことです。したがって、そのワイヤレスレシーバーからは、スピーカーケーブルを這わせることになるでしょう。もし台座にスピーカーを載せることがあなたの美意識上問題なければ、ですが。それでもまだ「スピーカーケーブルが部屋の後ろを走る」というあなたのトラブルを解決したいと言うなら、いくつかオプションがあります。それは、あなたのDENONに接続されたトランスミッターを用意し、ワイヤレスアンプレシーバーをサラウンドスピーカーに接続する、というものなどです。



あなたの背面に壁がなく、キッチンのために開放されたスペースであるのなら、やはりトランシーバーへの電源供給を探す時に、トラブルを抱えるでしょう。また、あなたが床下の部分へでもいこうとしない限り、ワイヤレスレシーバーからのスピーカーケーブルがフロアを横切ります。



kef-wireless.png



いくつかのメーカーが、ワイヤレスのトランシーバー/レシーバーのパッケージ商品をつくっています。だいたいのものが2.4GHz伝送です。それぞれのシステムのレシーバー部分には、スピーカー1、2個分のアンプが内蔵されています。そのワイヤレスシステムのアンプは、あなたのDENONレシーバーと同じパワフルさはないです。KEF Wireless Systemは、わたしが過去に使ったことのある1つですが、結構いい音です。(電波などの)干渉に対して信号を安定させるための、"frequency hopping technology" *1が搭載されています。



PolkのF/Xは独立したスピーカーボックスで、4つのフルレンジ・ドライバーと5.25インチのウーファーを搭載しています。このユニットはサラウンドスピーカーの置き換え用にデザインされています、後ろの壁用ではありません(側壁に反響させます)。SoundcastのSurroundcastは、トランスミッターとアンプレシーバー(25W x2)を内蔵しています。やっぱりあなたは電源を探し、2つのスピーカーへレシーバーからケーブルをはわせなければなりません。



JBLのWEM-1のワイヤレススピーカーキットは、Soundcastと同じような働きをしますが、50W x2です。JBLはトランスミッター付属のキットや、スピーカーがレシーバーにビルトインされた製品も販売していますが、でも1チャンネルにつき15Wだし、たぶんあなたの要求に対してはパワー不足でしょう。



わたしの考えるワイヤレスに代わるオプションとしては、インシーリング(天井埋込み)スピーカーでしょう。これであれば、あなたはワイヤー接続できて、しかもメディアルームとキッチンの間の開放的な空間を何者にも阻害されません。少しインストールに手間がいりますが、まあこれがいいでしょう。ここで探せます。(リンク:米国のインストーラーリストへジャンプします)





*1 本家サイトを見てもあまりよくわからないが、AAFHSS (Advanced Frequency Hopping Spread Spectrum)とのこと。ちなみに "frequency=周波数" "hopping=ぴょんぴょん飛ぶ"の意味。

Written by Kyo_Yamada
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2010年12月01日

ホームシアタープロジェクターを購入する【試聴編】

プロジェクター購入のポイント ~試聴編~
前回に引き続き、プロジェクターの記事です。

今回はプロジェクターの「機能」と「性能」のうち、代表的なものを紹介したいと思います。記事の後半では、実際に販売店へ足を運んだ時に確認しておくべき項目もとりあげています。ご自宅での下調べのあと、販売店で試聴する際に、参考にして頂ければと思います。少し長い記事ですが、これからプロジェクターの導入をお考えの方にぴったりだと思います。

ここで、少しだけ宣伝させてください・・。Victor/JVCのプロジェクター試聴は、是非弊社へ!

プロジェクターの機能
プロジェクター製品のメインとなるのが「画質調整」の機能です。
どんな製品でも基本性能があり、それを調整して、さらに性能を引き出します。車でもエンジンが小さいものでは、性能に限界があるのと同じで、プロジェクターも大体の性能がはじめから決まっています。「画質調整」を行うことで、ノーマル車から自分にあったセッティングの車に乗り換えましょう。

以下では、すべてのプロジェクターの機能をご紹介はできませんが、代表的なものをいくつか挙げてみます。

明るさの調整
・ガンマ調整
>なにこれ?
「画面の明るさ」を調整するものです。
>なんでついてるの?
ソフトやハードによって、画面に映るものがばらばらだったりします。状況によって映像が見えにくい場合は、これを調整して快適にしてあげます。


下の画像では、右半分は建物の影になっていて、何が写っているのかよくわかりません。こういう時は、ガンマ値を調整してやりましょう。
gamma-1.png


下が補正した画像です。暗部がもちあがり、影になっていた部分が見えやすくなりました。
ちなみにこの画像はAdobe社Photoshopという画像編集ソフトのスクリーンショットです。右端に「トーンカーブ」という調整パネルがありますが、これで画像を調整できます。プロジェクターでも同様にこうしたカーブでの調整ができるものが多いです。
gamma-2.png


トーンカーブの他にも、「ヒストグラム」と言われる分布図を用いたガンマ調整もあります。プロジェクターにはないと思いますが、参考までに。下は元画像です。
gamma-3.png


ヒストグラムでの調整画像です。極端に調整をかけましたので不自然な画像ですが、影の部分が完全に見えています。
gamma-4.png


このように、ガンマ値を調整/補正することで、映像の「明るさ」を調整することができます。もちろん、暗くもできます。ちょっと明るく浮きすぎだなという場合は、ガンマ値の補正で全体を沈ませます。


「フィルムトーン」(Victorすごい!)
>なにこれ?
誰でも難しいこと考えずに、簡単に明るさを調整する機能です。
>なんでついてるの?
実は、上で紹介したトーンカーブは結構調整が難しかったりします。どこかのパラメータを動かすと、どこかが崩れてしまったりします。DLA-X7/9に搭載された「フィルムトーン」の機能では、画像の破綻を来さずに、明るさの調整が手軽に行えます。


先日の内覧会で、「これいいな・・」と思ったのが、この「フィルムトーン」です。
日頃から写真をPhotoshopなどでいじっている人には、かなりこの機能のありがたさがわかるものだと思います。画像(や映像)の明るさを単純に調整すると、「画(え)」としてのバランスが破綻することがよくあります。それを最小限にとどめる微妙な調整が必要で、なかなかやっかいです。例えば上に挙げた4枚目の写真では、完全にバランスが崩れています。あれは乱暴に暗部をもちあげたからです。

内覧会時のデモンストレーションでも、フィルムトーンを調整すると、少し処理にタイムラグがありました。恐らくCPUで映像を解析して、最適値を出しているんだと思います。だから破綻なく、階調を調整できるんですね。Victorすごい!


カラーの調整
・画質モード/カラーモード
>なにこれ?
鑑賞する映像ソフトにあわせて、色の具合を選べます。
>なんでついてるの?
明るさを調整する以上に、色の調整はパラメータも多く大変です。鑑賞する映画によって、ユーザーが細かいパラメータを調整するなんて無理なので、メーカーがあらかじめタイプに合った設定(モード)を作ってくれています。JVCのDLA-X7/9では、なんと12種類の画質モードが選べるようになりました。他のメーカーでも、例えばEPSONのEH-TW4500では7種類のカラーモードが搭載されています。


これの何がすごいかって、「色」の調整を知るとわかります。基本中の基本として、「光の三原色(Red/Green/Blue)」があります。これに「Cy(シアン)Mg(マゼンダ)Ye(イエロー)」を含めた6色、さらにJVC X7/9では「Og(オレンジ)」を追加した7つの色を調整できます。これらのパラメータを映画ソフトにあわせて、毎回のように調整するなんて、気の遠くなる作業ですよね。一方、毎日映像と格闘しているプロ中のプロが導きだしたプロファイルを利用できるのは、非常にありがたいことです。特に次項で紹介する色調整が行えないモデルでは、メーカーが用意するモードの、いわゆる「つくりこみ」に期待するしかありません。


・カラーマネージメント
>なにこれ?
ユーザーのお好みにあわせて、色の具合を「調整」できます。
>なんでついてるの?
メーカーが用意した「画質モード/カラーモード」を、もう少し好みに調整したい人がいるからです。また、作品の意図を忠実に再現するには、お客様のシステムや環境条件による微妙な差を調整する必要があります。


Victor製品では、X3には搭載されていない機能です。上位機種のX7/9が持っている機能となります。カラーマネージメントの機能では、「色相」「彩度」「明度」の3つを調整できるのが一般的です。あまり馴染みのない用語でとっつきにくいのですが、具体例を見れば簡単に理解できますので、以下で少し説明したいと思います。

まず、「色相」です。下の画像は、蛍光灯の光る屋内で撮影したものです。なんとなく緑がかっていますが、実際はこんな感じではありませんでした。
color-a1.png


この不自然な緑を修正したい。こういう時は、「色相」で緑を調整します。下の画像が修正後です。どうでしょうか?自然な感じになりましたね。「彩度」も少し下げていますが、「緑」に対してのみ調整しているため、赤い絨毯の色はそのままです。
color-a2.png


次に「彩度」ですが、これは簡単ですね。色の鮮やかさの調整ができます。下が元画像です。
color-b1.png


当然、彩度を下げると「白黒写真」に近くなっていきます。これも、「赤に対してだけ」のような調整が可能です。
color-b2.png


最後に「明度」です。上記で解説した「ガンマ調整」とどう違うの?というのを見てもらいます。下が元画像です。
color-c1.png


下が「明度」を上げた状態です。暗いところから明るいところまで、まんべんなく明るくなります。従って、元画像の「最も暗かったところ」のレベルもあがっています。
color-c2.png


比較用に「トーンカーブ」での補正も並べておきます。
color-c3.png


カラーマネージメント機能のあるモデルでは、こうした細かい調整をすることが可能です。もしこの機能がなくても、前項で紹介した「画質モード/カラーモード」で、メーカーの技術者が上記のような「色相」「彩度」「明度」を調整してくれた設定が使えるわけで、これも製品コストのうちと考えて良さそうです。


新7軸カラーマネージメント(Victorすごい!)
>なにこれ?
一般的な6色に「Og(オレンジ)」を加えた7色を調整できて、しかも調整時の画面では、調整したい色だけを出力できます。
>なんでついてるの?
Og(オレンジ)は、人肌の色をコントロールする時に調整の機会が多いパラメータです。「R(レッド)」と「G(グリーン)」をかけ合わせて作れますが、独立してオレンジを設けると調整が楽です。


これがないと困るわけではありませんが、多くの場合、人肌はオレンジ色に近く、映画ソフトでは頻繁に調整の対象になります。この時、「R」と「G」を別々に調整するよりも、簡易的にではあるものの、「Og」を調整できるのは便利です。また、調整したい色のみを表示してくれる機能も追加されました。ただ、人間が色を認識するときは、周辺の色情報に大きく左右されるので、特定の色だけを見て調整するのはあまり合理的ではないのでは?という疑問があります。

以下は参考までに。有名な画像ですね。「A」と「B」のタイルの色が、実は同じというやつです。人間の認識って、とてもおもしろいですね、という程度の参考までに。
color-example.jpg



プロジェクターの性能
さて、プロジェクターの「機能」を紹介してきましたが、次は「性能」を見ていきたいと思います。
言葉の使い分けが微妙なのですが、「性能」は製品が最初から持っている能力です。まったく「機能」を使わないで発揮できる、製品自体がもつポテンシャル、素の状態に焦点をあててみましょう。特に、プロジェクターの心臓部ともいえる液晶デバイスの性能差は、仕組みや技術的なことは難しいのですが、自分なりに整理して理解しておきましょう。

以下では、実機を試聴するときに注目してほしいポイントを3つ挙げています。

・画素の目立ち(グリッド)
透過型(EPSONやMITSUBISHI)のデメリットとしてよく挙げられるのが、素子と素子の間にどうしても生じる「隙間」です。
透過型では、各画素に駆動回路の配線が必要です。昔にくらべ、現在はフルHDなど、映像がどんどん高精細になってきました。ピクセルが細かくなるほど、こうした隙間がどうしても目立つことになります。その点、画素と画素の間を限りなくぴたりと詰められるLCoS方式(VictorやSONY)には、絶対的な画質のアドバンテージがあります。
もちろんLCoS方式(反射型)のプロジェクター、つまりJVC/Victor、SONY、EPSONの三社でも性能に違いがあります。それぞれが開発・製造の段階で、ミクロ単位のしのぎを削っているわけです。SONYのWebサイトには、この辺りのデバイス・テクノロジーがわかりやすく紹介されています。(やっとSONYのサイトを紹介できました!)


・暗部の再現性
よくホームシアターのレファレンスソフト(参考になりやすいソフト)に、映画「ダークナイト」が使われます。
この「ダークナイト」には暗いシーンがよく出てくるのですが、一昔前の液晶テレビではとてもきちんと観れないような映像ばかりです。透過型のプロジェクターは、液晶パネルの後ろから光を透過させて映しているため、一番暗くなって欲しいところがどうしても明るくなりがちです。黒が沈んでいない映像は、全体が明るいため、上で例に挙げた「明度」を上げた写真のようになってしまいます。
こうして考えると、いくらコントラスト比が高くても、最暗部が明るくては意味がありません(仕組みがわかってきた方なら納得できるはず)。仕様に書かれたコントラスト比だけを見ていては、そのプロジェクターの性能は絶対にわかりません。


・色の再現域(色空間)
明るさの階調も大切ですが、色彩豊かな映像も当然ながら重要です。
色の再現性が貧弱だと、いくら画質を調整する機能があっても意味がありません。そもそも、その色が出ないからです。従って、「色の再現域」は非常に重要です。出来る限り、どんな色でも再現できるのが理想ですが、これは製品の性能に大きく依ってきます。
この「色の範囲」をわかりやすく図式化しているものが、「色度図」と言われるものです。JVCEPSONのサイトで解説に色度図が使われていたので、紹介しておきます。人間が認識可能な色の範囲と、機器で再現可能な範囲がひとめでわかります。再現範囲が広いと、それだけ表示できる色も豊かになります。

以下の画像は、シャープのWebサイトから参照した色度図です。このシャープのサイトは、色に関するデータが非常に豊富です。とても参考になると思います。
color-map.jpg


以上の3つの項目は、実機の試聴時に意識してチェックすることをお薦めします。


Victorのもつ特色
だいたい、どのメーカーでも共通する項目は挙げてきましたので、ここでVictorの持つその他の機能をご紹介しておきます。(一応、JVCの販売店ですので・・)ちょっと「Victorすごい!」的な内容ばかりになりますが、その辺りはご了承ください・・。

・Xenon(キセノン)ランプの光源色(参照)
DLA-X7/9では、映画館でフィルムを投映する際に使用されている、キセノンランプの色味を再現しています。
「フィルムライク」を追求するVictor/JVCならではのこだわりがここに現れています。わたしが以前技術者の方にインタビューしたときも、かなり力を入れている様子でした。なぜこれが効果的かと言うと、例えばあまり性能の良くないデジカメで写真を撮ると、たまに周辺の光や光源の具合によって不自然な色に写ったりしますよね。上述の「色相」の項でもわかる通り(蛍光灯での写真参照)、照明や光源によって色味はとても影響されます。従って、映写機のランプが持っている色を再現することが効果的なのは当然のことです。


・「黒レベル」設定(参照)
画面の明るさを調整する機能のひとつで、これはX3にも搭載されています。
専用のシアタールームがあって、ほぼ完全な暗闇状態にできれば良いのですが、リビングルームなどでは難しいです。外光がある場合は、その環境にあわせて黒のレベル調整をする必要があります。この設定モードでは、「ダークナイト」などのレファレンスソフトを一時停止したりしなくても、黒レベルを調整するための「テストパターン」を映してくれるので、調整がとても楽になります。


・新スクリーン補正モード(参照)
お客様がお使いのスクリーンにあわせた補正を実現できるモードです。
意外に周知が進んでいないのが、スクリーンとのマッチングです。あたりまえの話ですが、どこに映してもプロジェクターの映像が同じように見えるわけではありません。これは映画用スクリーンでも同様です。映画用スクリーンにも機能と性能があり、だから価格差もあります。Victorでは以前より、「◯◯メーカーの××モデルにはこれ」という研究をしていました。これ、すごいですよね。そのデータが蓄積されてきて、今回のX7/9ではなんと94種類のスクリーンから、お客様が持っているモデルを選べるようになりました。またX3でも、スクリーンの傾向に合わせた3種類のモードが選べるようになっています。

以上、Victor/JVCのプロジェクターならではというポイントを挙げました。


実機で確認すべきポイント
各社のプロジェクターが持っている機能や、性能についてご紹介してきました。
最後に、実際に試聴する時にしかわからない、ちょっとしたポイントを紹介します。他にも色々あると思いますので、こんなのは?というものがあれば、是非コメントをお寄せください。

・リモコン
いくらWeb上のサンプル画像を見ても、手に持ってみないとわかりません。
正直リモコンで製品の選択が分かれるということはないと思いますが、評論家の麻倉さんも著書の中で「リモコンの使い勝手が非常に重要」で、「ダイレクトキーがついているか」をチェックしていると言います。他にも、暗闇でもキーが光る「自照式」のものが良いです。これから良いプロジェクターを買って、調整も色々とこだわって楽しもうという方は、是非リモコンにも注目してください。画面を見ながら、片手で間違えずに操作できるものをお薦めします。
余談ですが、SONYさんはリモコンの写真ぐらいWebで見れるようにしたほうがいいと思います・・。


・メニュー画面
個人的にはこれから重要になってくるところだと思っています。
AppleのiPhoneがなぜ売れたかというと、快適な操作感があったからです。どれだけハイスペックな機器でも、操作画面がもっさりしていると使い物になりません。HDDレコーダーとか番組表とか、気が狂っていますよね。今後はもっとこうした面が重視されてくると思います。どのメーカーが先にテコ入れするか楽しみにしています。
あと、これまた余談ですが、Pioneerが最近リリースしたAV機器のコントロールアプリ「iControlAV」は、非常に秀逸です。一度触ってみてください。ちょっと感動します。ということで、実機を触るときは、必ずメニュー操作のレスポンスや画面の構成を見てください。


・倍速駆動
最近はご存じの方が多い機能ですが、一応。
正直、映画好きの方がこの機能を使う機会はあまりないと思います。普通の映画作品で使うと、結構違和感があるので。上位機種にはどれもついているんですけどね。あまりメーカーによるこの機能の差にこだわる必要はないと思います。そういうのを確かめる意味でも、実際に試聴してみることをお薦めします。


・販売店の対応
書くか迷ったのですが・・、一応。
プロジェクターの購入では、通販と店舗販売の大きく二つに分かれると思います。当然、前者は価格優先です。多くの通販は、「購入価格」という、その時だけの一過性のメリットです。で、オーディオ/ビジュアル製品は、基本的に組み合わせて使うものです。通販で買っていると、組み合わせた時に「あれ?」みたいになったりします。しかも長いスパンでそれを使い続け、一部の製品を新しいものに買い換えたりもします。
その分野に詳しい人ならいいのですが、口コミ情報サイトの充実で、そうでない人も通販でのポン買いをするようになりました。ちょっと違うかもしれませんが、例えば、Yahoo!オークションで中古車を個人から買う人って、絶対車に詳しい人ですよね。どれぐらいの管理費がその後必要でとか、そういう知識がある人です。炊飯器を買うのなら通販でいいのですが、正直オーディオ/ビジュアルは店舗販売で買ったほうがいいと思います。
実店舗でやってるから言うわけではないですが、安物買いの銭失いは、オーディオ/ビジュアル業界ではよくあることです。まあ、通販批判みたいにしかならないから、あまり書きたくなかったんですが・・。

実際に販売店へ行ったときは、対応はもちろん、雑談でも相性があうかなど、肌感みたいなものも見ておくと良いと思います。


まとめ
ここ最近ずっとプロジェクターの記事を書いてきました。

今回、全体的にSONY製品を紹介する機会がすごく少なかったのをお赦しください。正直なところ、参照ソースを明確にする基本に従って書いてきたのですが、SONYの製品はあまりにも情報不足でした。正直、あのWebサイトではなにもわかりませんでした。弊社が取扱店だったらクレームを入たいのですが、他の販売店からは苦情がないのでしょうか・・?もちろん、わたしももう少しVictor以外の製品を勉強すべきなのですが・・。

このブログ全体に言えますが、有益で参照にたえるソースには、できるだけリンクをつけています。どうしてもWikipediaへのリンクが多いのですが、このブログを読んでくださっている皆様の学びの一助になれれば幸いです。今後も、ホームシアターやオーディオに関連して、こういう記事を書いて欲しいというご要望があれば是非お寄せください。もしリクエストがあれば、メーカーの方に直接インタビューの申し入れをしたりとか企んでいます。また誤った記述などを発見された場合もご連絡頂けると幸いです。

次回以降の記事も、よろしくお願いいたします。



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written by Kyo_Yamada
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