2010年08月28日

スクリーンとディスプレイの違い

スクリーンとディスプレイの違い
ホームシアターの映像は、スクリーンでもディスプレイ(液晶やプラズマの画面)でも観ることができます。では両者はどこに違いがあるのでしょうか。弊社なりの考えを、まとめてみたいと思います。


ホームシアターの定義とは?
詳しい話に入る前に、前提を整理しておきます。
まず、皆さんが思い描くホームシアターとはなにか。これはWikipediaでもわからない事です。なぜなら、弊社が目指すホームシアターも、お客様が実際にご希望されるホームシアターも、このブログを初めて読まれる方や、あまりオーディオ・ビジュアルに詳しくない方が思っている、「ホームシアターってこんな感じ」という姿も、それぞれ違っているからです。
本記事では、ホームシアターというものを分り易く説明するのが目的ですから、ここでは単純に「映画館をそのまま自宅に持ってきたもの」としたいと思います。


映画館ではディスプレイで観ない
では映画館とはどんなものでしょうか。
古今東西、様々な映画館がありますが、すべてに共通することは、「スクリーンで映像を観る」という点です *1
なぜスクリーンなのか?
ここですぐに思うのは、「大画面にするためじゃないの?」ということです。その通りです。ディスプレイで数百インチの映像を観るなんて無理です。それでは比較的小さな画面、例えば150インチ程度の映画館ではどうかとなりますが、これぐらいのサイズであればPanasonicのプラズマ・ディスプレイがあります。しかし、それでも映画館ではスクリーンを掛けます。どうやら「映画館」と名乗る限りはスクリーンでなければならないようです。「スクリーンじゃないとホームシアターじゃない!」とは考える必要は全くありませんが、実際、映画館がスクリーンを掛けているのには理由があるようで、それがどうやら映画を観るのに良いらしい、ということなのです。

cinema-1.jpg

cinema-2.jpg


写真:上 *2
写真:下 *3


スクリーンで観る理由

ではなぜ映画館はスクリーンなのでしょうか。
コストさえ鑑みなければ、ひと繋ぎの大画面ディスプレイを使った映画館も不可能ではないでしょう。ですから、映画館がスクリーンを掛ける理由というのは、「大きさ」以外の別の理由があると考える必要があります。ポイントは、スクリーンでできてディスプレイではできない事です。
答えは音です。
一般的な映画館では、「サウンド・スクリーン」という種類のスクリーンが使われています。スクリーンには微小な穴があいており、そこを空気が通過できるようになっています。音は空気を伝っていきますから、スクリーンの後ろ側にスピーカーを置いても大丈夫という仕組みです。現在の標準的な映画製作では、「映像の後ろから音が出る」ことを前提に製作されています。なぜ音が映像の後ろから出る必要があるのかは後述しますが、大きなディスプレイが開発されてもスクリーンを掛けているのは、スクリーンの後ろから音が聴こえるようにしたいがためのものだったのです。これが映画館がスクリーンを掛ける理由です。
ですから、現在世の中にあるディスプレイでは、例えどれだけ大きなディスプレイができても、「映像から音がでない」という絶対に越えられない壁があるのです。

stewart.jpg
米Stewart社製サウンド・スクリーン。小さな穴があいている。



なぜスクリーンの後ろなのか

ではなぜ音がスクリーンの後ろから聴こえるほうが良いのか。
およそ100年前、映画には音がついていませんでした。いわゆる「サイレント映画」と言われるものです。以降、技術の進歩で映画にはどんどん音が付けられていきました。そして現在では、特別な人でなくても手軽に自宅で高画質・高音質の映画を観ることができています。

silent-movie.jpg
世界初の映画『ラウンドヘイ・ガーデン・シーン』 *4

silent-movie-2.jpg
1916年製作のサイレント映画『イントレランス』 *5

現在の一般的な映画は、俳優が登場しセリフをしゃべります。そのセリフがスクリーンから、つまり映し出された役者の口元から聴こえてくるほうが良いのは当然でしょう。

ここで少し音響的なことを解説しておきます。
「サラウンド」という言葉を聞いたことがあると思います。5.1ch(チャンネル)のサラウンドの場合、鑑賞者の前方に3つのスピーカーを配置します。左・センター・右と配置しますが、このうちセンター・スピーカーからセリフが再生される仕組みになっています。従って、センター・スピーカーを床に設置した場合、視聴する環境によってはセリフが画面の下から聴こえてしまう場合もあります。音響についての詳しいことは、また別の記事で書きたいと思います。

urakara.jpg
スクリーンの後ろにスピーカーがある。セリフはスクリーンの真裏から聴こえてくる。

shitakara.jpg
スクリーンの左右と下にスピーカーを設置。音像は少し下へ引っ張られる。*6


こうした理由から、ほとんどの映画館では基本的にサウンド・スクリーンを採用しています。またセンター・スピーカーはスクリーンの裏側に設置されています。弊社ショールームでも映画館のスタイルを再現できるようサウンド・スクリーンを採用しています。


スクリーンの横にスピーカーを置く

しかし、スクリーンを導入したホームシアターでも、スピーカーを横や下に設置している例をよく見かけます。また各メーカーもそれを想定した製品を発売しています。映画館と同じようにしたほうが良いはずです。どうしてでしょうか?

理由1「予算」
ホームシアターを造るには、まとまった予算が必要です。そして多くの場合、予算には限りがあります。これがスピーカーを横や下に設置する一番大きな理由です。そう、サウンドスクリーンは高いのです。

<追記 2010.09.02>
株式会社キクチ科学研究所さまより、参考価格を頂きました。
[Stewart社]
120HD = 約700,000円
150HD = 約900,000円
また最近では他メーカーのもので安価なものがあるそうです。こちらであれば、およそ1/4〜1/5程度の価格で、200,000円以下まで抑えられ、違いは繋ぎ目があるかないかと開孔の目の細かさと、映像の差とのこと。


理由2「スペース」
スクリーンの後ろにスピーカーを設置すると、その分奥行きを取る必要があります。日本の住宅事情的に、これは大きなファクターです。ちなみに、THXが推奨する最適視聴距離は、画面サイズに3を乗した数です。例えば120インチのスクリーンでは、【120(inch) x 3 = 360(cm)】となり、3.6m程度の距離が必要です(およそ画面の高さ×2.5)。
部屋の中で一番長さがとれる場所が必ずしもスクリーンを設置できる場所とは限らないため、こうしたスペースの問題はなかなか無視できません。
最適視聴距離については、NHKの規定で【画面の高さ×3】という計算方法(推奨距離)が一般的です *7。ちなみに弊社ショールームではTHXが推奨する距離に視聴位置を置いています。これはもともと上記の計算式で決めたのではなかったのですが、実際に視聴して一番良かった位置が、後で計算してみたTHX推奨距離と一致していたという経緯があります *8。いずれにせよ日本の住環境では面積に余裕が無い場合が多いでしょう。

distance-prob.jpg
スピーカーの奥行き分だけ、余計に視聴位置をずらす必要がある。

distance-hivi.jpg
THX推奨のほうが視聴距離は短い。


理由3「リビングシアター」
2に共通する部分もあるのですが、日本のホームシアターは主にリビングシアターが普及しています。専用のシアタールームと違い、映画鑑賞時以外の時間に配慮する必要があります。スクリーンはあまりTVの視聴などには向いていませんから、映画を観ていない時間にスクリーンを上げます。すると、後ろにあったスピーカーが丸見えになり、あまり外観的には良くありません。その辺りには、まだまだ工夫の余地があると弊社では考えています。

*7 参考:ソニーのこちらのサイトなど
*8 評論家の麻倉怜士氏の著書「ホームシアターの作法」(ソフトバンク新書)では、感覚値として映像が100インチを超えだすと視聴距離を縮めても違和感なく視聴ができるとあります


自宅に映画館をつくる

これまで書いてきたように、ホームシアターの中でも「映画館のスタイル」にこだわりたい方は、サウンド・スクリーンを採用するのが良いでしょう。個人的には、サウンド・スクリーンで良いのは、画面に集中できることだと思っています。スピーカーなど余計なものがないので、視界に入ってくるものが映像だけにになります。しかもサウンド・スクリーンであれば、壁いっぱいにまでスクリーンを広げることも可能です。私は映画を観ている時の「没入感」が好きなので、特にサウンド・スクリーンが好きなのかもしれません。

ホームシアターは、映画を観る方法の一つです。別に自宅で観なくても、映画館に行けば映画は観られます。昔は映像を観る方法がとても限られていましたし、特に映画を観るとなると映画館へ行くしかありませんでした。今はどんどん映画を観る方法が多様化してきています。自宅で映画を観るスタイルも、様々あって当然です。もし「自宅で」「好きな映画を」「いつでも」「一人で」「広い座席で」「映画館のスタイルで」観たいという方は、是非ディスプレイではなく、スクリーンで、中でもサウンド・スクリーンでご覧になってはいかがでしょうか。
written by Kyo_Yamada
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2010年08月11日

B&W 800Diamond試聴会

弊社ショールームにて試聴会のお知らせ

この度、話題の英国B&W 800シリーズDiamondの試聴会を開催する運びとなりました。新シリーズのフラッグシップモデル/800Diamondを使用した試聴会は、弊社が関西初となります。弊社ショールームのゆったりとした雰囲気の中で、リラックスしてご試聴頂けるようご用意しております。


試聴会の詳細

タイトル:「関西地区初 B&W 800Diamond試聴会」
日時:9月4日(土)13:00 - 15:00
場所:ホームシネマ&オーディオ 森小路ショールーム
   大阪市旭区新森6-6-2-101 tel. 06-6953-9666
機材:B&W 800Diamond (PianoBlack)
   Marantz SC-7S2 / MA-9S2 / SA-7S1
講師:マランツブランドカンパニー音質担当マネージャー 澤田龍一
参加:予約不要/自由にご来店ください
駐車スペース:3台(出来る限り公共交通機関でご来場ください)
お問い合わせ:ホームシネマ&オーディオ(株)/info@homecinema.co.jp
協力:株式会社マランツコンシューマーマーケティング[ホームページ


英国B&W 800シリーズDiamond

800a.jpg

“Diamond”の名を冠し、7モデルすべてのスピーカーにダイアモンド・ドーム・トゥイーターを搭載した新シリーズ。
前作はロンドンのアビーロード・スタジオ、カリフォルニアのスカイウォーカー・サウンドでも採用され、世界でその品質を認められたハイエンド・スピーカーの代表的存在。「オリジナルの信号に足し引きなく、正確な音を再生する技術」がさらに進歩した本シリーズ。デザインの美しさも兼ね備えた、まさに珠玉のスピーカーシステム。
B&Wのサイトで詳しくみる



イベントの参加にご予約は不要です、どなたでもお気軽にお越しください。
デモンストレーション終了後は自由歓談とし、お飲み物をご用意しております。ゆっくりとおくつろぎ頂きながら、お持ち頂いたご愛聴ソフトをご試聴頂けます。デモンストレーション開始に間に合わなかったお客様でも、ゆったりとした店内で800Diamondを心ゆくまでご堪能いただけます。
(スペースの関係で15席程度しかご用意できません。お客様が15人を超える場合は立ち見となりますことをご了承ください。)
information by HCA
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タグ:B&W 試聴会
posted by HCA at 15:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | B&W 800Diamond | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

リスニングルームの様子 2010.08.11

弊社の視聴室を紹介します
森小路ショールームでは、約22帖(36u)のリスニングルームを完備しています。
部屋はもちろん防音施工済みですから、ご来店頂きましたら音量を気にすることなく映画や音楽をご試聴して頂けます。弊社のテーマカラーである「seabed blue(海底のあお)」を意識したブルーのクロス、花梨材を敷いたフローリングなど、落ち着いた環境で映画・音楽をお楽しみ頂けます。


B&W 800Diamondも余裕の視聴室

front2.jpg

シリーズ中、最もサイズの大きい800Diamondを設置しても十分なスペースがあります。
異なるシステムを比較試聴することはできませんが、代わりにくつろいだ気分で、ゆっくりとひとつのシステムをご視聴いただけるのが弊社の特徴です。まもなく開催の800Diamondの試聴会では、こうした弊社の良さを活かした試聴会にしたいと考えています。展示機材は限られていますが、展示しているシステムを時間をかけて堪能して頂ければと思います。


長時間のシアター試聴にも

backshot2.jpg

ソファに深く身をゆだねて観る映画の時間は最高です。
森小路ショールームでは、ホームシアターの視聴システムを完備しています。現在はVictor DLA-HD950を天吊で設置しています。その後ろにはAV機器を収納したラック、そしてその両サイドにサラウンド・リアスピーカーがあります。


DENON製 セパレートタイプのAVアンプ

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弊社ではDENON AVP-A1HD(プリアンプ)、DENON POA-A1HD(パワーアンプ)を設置しています。AVサラウンドアンプとしては、DENON社のフラッグシップモデルです。音質もさることながら、そのシックな外観はとても魅力的です。パワーアンプ(下段)にある3つのアナログライクなメーターは、実際に駆動して針が振れる様子や電球の灯りなど、小さなギミックにも心をくすぐられます。


2つのブルーレイ・プレーヤー

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ホームシアターの施工専門会社として、Marantz UD9004(上段)のようなプレーヤーを展示しているのは当然かもしれません。
弊社ではそれに加え、Panasonic DMR-BW570(下段)も展示しています。昨今、ホームエンターテイメントのひとつとして、大画面で映画やTVを家族で楽しむ家庭が増えています。そうした中、ブルーレイのプレーヤーにレコーダーを選ばれるお客様もいらっしゃいます。高性能な再生専用機に比べて、ディスクのロード時間が短かったりと、実は便利な "もう1つのプレーヤー" です。


コントロール系統

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米国CRESTRON社のシステムは不可欠な存在です。
弊社のショールームは、映画鑑賞用のシステムはもちろん、照明から空調、さらにはWebカメラからの画像もコントローラーの画面で操作・確認することが可能です。リモコンの寄せ集め的なイメージをお持ちの方は、是非弊社ショールームで体験してください。CRESTRONのシステムで制御されたホームオートメーションシステムを、最新のApple iPadでコントロールしていただけます。


最適に調音されたリスニング空間へ

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ピュアオーディオの分野で常識のルームアコースティック技術は、弊社の核です。
どれだけ高性能な機材を用意したとしても、それが "どこでも" 性能を発揮できるわけではありません。これがオーディオの醍醐味でもあります。弊社展示のB&W 800Diamondは、非常に優れたポテンシャルを持ったスピーカーです。このスピーカーを含めた展示システムをより良く再生できるよう、常に試行錯誤しています。


HOMECINEMA&AUDIOへお越し下さい

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創業10年、日本のホームシアター黎明期に事業を開始した弊社は、「建築×音響」という発想でスタートしました。
オーディオは機材だけでは終わりません。ホームシネマ&オーディオは、建築的視点からオーディオ空間を見つめ、同時に音響的理解を併せ持った専門施工会社です。音響のことを知らない業者ではいけませんし、建築ができない音響屋ではオーディオが真の意味で完成しない。こうした命題に加え、ホームオートメーションなど新しいテクノロジーにも取り組みます。

是非一度、お越しください。
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タグ:視聴室 B&W
posted by HCA at 13:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 弊社ショールーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

当ブログについて


ホームシネマ&オーディオ株式会社より皆様へ


 この度は弊社のブログをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。当ブログの管理を担当しております、山田響と申します。今後ともお見知りおきのほど、よろしくお願いいたします。

 当ブログは、ホームシアター/オーディオにご興味のある皆様と弊社がつながりを持てるための場を目的としております。ここで「皆様」とするのは、弊社の取引上の「お客様」のみならず、広く世間一般の方々とのコミュニケーションを持ちたいとの考えからです。インターネットを信頼する個人として、オーディオ・ビジュアルに関わる企業の広報として、自由でオープンなコミュニケーションをより多くの方々と持てるよう、出来る限りの努力をしていく所存でございます。時には厳しいアドバイスを頂く機会もあると思いますが、全ての言葉・コメントは、オーディオ・ビジュアルをこよなく愛する一人の紳士から(時には淑女から)発せられたものと思い、これに真摯に向き合うことをお約束いたします。

2010.08.11 Kyo_Yamada




【2010.08.11】
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